広い庭があるのに隣家からの視線が気になり、カーテンを閉め切って暮らしていた熟年夫妻。建て替え時に建築家が提案したのは意外なプランだった…!
新しい家が建つ以前、住み手の夫妻は隣家の視線が気になり、せっかくの庭の景色を楽しめずにカーテンを閉め切って生活していたそう。そこで、建築家の中土居宏紀さんは、大きな窓から心地よい光が差し込む家をプラン。今では、四季で移ろう庭を眺めることができるようになりました。 都心部で問題になる、プライバシーを守りながらも開放的な住まいをどう叶えるか?建築家ならではのアイデアに注目です。 【写真で見る】古い木造2階建てを平屋に建て替えた結果…住み手が大満足の理由とは?
“互い違いに重なる壁”で視線を遮り、庭の緑と空を呼び込む住まいに
登り梁が連なる端正なリビング。この部屋にはそのときどきの光が差し込みます。この表情豊かな住まいを設計したのは、建築家の中土居宏紀さん。 ここは大阪府、子供たちが巣立ち、愛犬と暮らす共働き夫婦から、古い木造2階建てを「老後を見据えて開放的に暮らせる平屋に」と、建て替えを依頼されました。 約300㎡ある広い敷地内には南側に既存の庭があるものの、西側の公園と南側の隣家に対するプライバシーの確保が課題になっていました。
「以前の住宅は庭から離れているがゆえに、隣家2階の窓からの視線が気になり、カーテンを閉めたまま生活されていました。 そこで、住宅をあえて庭に近づけてその窓が視界に入らないようにしつつ、“庭を身近に体感できる住まい”を目指しました」と中土居さん。 庭に沿って設けられたアプローチを進むと、光あふれるポーチが現れます。 この半屋外空間はリビングに続くインナーテラスを兼ね、その先には玄関、書斎と寝室2部屋、水回り、多目的室が連続し、リビングを取り巻くように大小の空間がつながる回遊動線としています。 中土居さんが最も注力したのが、ポーチの“互い違いに交差する壁”。上半分を垂れ壁、下半分を腰壁とした“閉じつつ開く”つくりで、外部の視線を遮りつつ光や緑を誘います。
木の架構をすっきり現したリビングは光がよく回り、大窓が四季で移ろう庭や空を切り取る。 植栽と公園の木々がつながって見える様子に「家が広がったみたい。庭に愛着がもてるようになりました」と奥さま。
自然を取り込み、生活領域が外へと拡張していく感覚になる住まいが、新たな楽しみをもたらしています。 どんな風に住みたいかを理解し、発想を提案してくれる建築家との出会いはきっと楽しいもの。 臆せず相談してみましょう!