『気になってる人が男じゃなかった』新井すみこさんの大人気マンガがSNSから広がった理由とは?
自信をもっていることが、自分を救ってくれる
──ミステリアスなお兄さんかと思いきや、かっこいい女の子だったというみつきのキャラクターは、どんなふうに生まれましたか? 完全に自分の好みなんですけど、女性なんだけれどマスキュリンさが見える人が大好きで、みつきのキャラクターはそこから作っていきました。地味な女の子が実はタトゥーを入れていたら?とか。それと、彼女の優しさも描きたかったところです。みつきは、無自覚だけど、当たり前に思いやりがあるんですよね。 ──ハンサムでジェントルですよね。セクシュアリティの描き方として、女性であることも含めてその人の存在がそのまま肯定されている感覚が絵からも伝わってきて、ときめきます。 ありがとうございます。みつきのちょっと骨ばった手首のラインとか指、爪の形とかもこだわっているので、うれしいです。1巻の絵は今読み返すと「うわー」ってなっちゃう部分もあるんですけど、あやに「友達になりたい」と伝えるみつきの表情は頑張りましたね。ネームの時点から表情をめちゃくちゃ描き込んで(笑)。絵はちょっと上達したから、最近は割と描いていて自分でもいいなって思うことのほうが多いんですよ。 ──学校でも二人が友達になるところは、印象的なシーンですね。 私はアメリカのTVドラマ「glee」(※マイノリティが集まった高校の合唱部を中心に描くミュージック・コメディ・ドラマ)が大好きで、あの作品を観て育ったんです。なんでも持っていそうに見えるキラキラした人も、実は人に言えない感情を抱えていたりするストーリーに感動したので、自分でも描きたくて。あやにはそういう要素が入っていますね。あやは、外見はフェミニンですがしゃんとしてるんです。他の人のことになると「は?」と立ち向かっていくような、気骨のある女の子ですね。 ──2巻ではそれぞれの個性がより見えてきました。 みつきは学校では自分を隠しているけど、でもみつきが必死で隠している彼女らしさって、本当はすごく魅力的なんですよね。あやと話すことで、学校でも本当の自分がどんどん引き出されていくところは描いていて楽しいです。 ──大好きな人といるときにいちばん自分らしくいられるって、とても素敵なことですね。 自分らしくいられるって、自分に自信を持てるってことですよね。人の目を気にしないことで、自分が大事にしてることや、自分に合った人が近づいてくる。みつきがあやを近づけたみたいに。堂々としていることにいちばん救われるのは、自分なんです。だから自分らしさを大切にしたいし、してほしいなと思いながらマンガを描いています。