「東日本大震災直後に倒産しておけば…」でも「社員や家族を守りたい。何もしない選択肢はなかった」 復興支援金による会社再建を目指した「イカ王子」の挫折と葛藤
2024年4月、倒産後に始めた金曜日の直売会。イカ王子がタラフライを揚げるとあって、たくさんの人が来てくれた。「こんな状況でも求めてくれている人がいる」と胸が熱くなった 会社の状況について、ネットで「税金から出ている補助金が、倒産して無駄に使われているのを見るとがっかりする」との書き込みを見た。無駄だと思われるのは仕方がないが「(被災後に)震災前と同規模に戻しただけで創造が生まれますかね。共和水産がこの地域にもたらしてきた波及効果は、どこよりも大きかった自信があります」と反論したい気持ちもある。 共和水産を引き受けてくれたのは東京の商社だ。残ったわずかな資金を債権者に分配する再建計画は認められ、現在は会社の清算手続きに入っている。 鈴木さんは立場こそ契約社員になったが、以前と同じ工場で働く。「またおいしさで笑顔にしたい」。その言葉を胸に、新たな人生のステージで歩みを進める。