ゴルフ業界2025年問題…キャディーロボット開発、三木市が支援
西日本の市町村で最多のゴルフ場を擁する兵庫県三木市は、新興企業が進める「キャディーロボット」の開発に対し、企業版ふるさと納税で寄付を募り、市内のゴルフ場で計画される実証実験などを支援する。慢性的なキャディー不足に加え、高齢化によるゴルフ人口の減少が懸念されるなか、ロボットを活用した新しいラウンドスタイルを創造したいとしている。(阿部健)
25のゴルフ場を有し、中学と高校の全国選手権大会を開催するなど、市はゴルフをまちづくりの重要な柱と位置付けている。一方で、ゴルフ業界は、愛好者が多く、金銭的にも時間的にも余裕のある団塊世代(75歳前後)やバブル期にプレーを始めた世代(60歳前後)が加齢に伴ってゴルフを離れ、マーケットが急激に縮小する「ゴルフ業界2025年問題」に直面しているとされる。また、ゴルファーをサポートするキャディーも高齢化などでなり手不足が懸念されている。
市は今年度、先端技術を持つ民間事業者と協働して課題解決を目指す実証事業をスタート。ロボット・AI(人工知能)技術を活用し、ゴルフマーケットの活性化を目指すという新興企業「サッカーロボ」(大阪府大東市)の提案を採択した。
同社や市によると、ロボットはカメラとセンサー、GPS(全地球測位システム)でボールの弾道を追跡して着地点を特定。1人乗りカートとしての機能も兼ね備え、ゴルファーを乗せて着地点に直行する。AIでコースやグリーンの特徴を学習することで、ピンまでの距離や狙い目、注意点などをアドバイスするキャディーの役割も果たす。早朝や夜間は、自動でコースの整備も行うという。
同社は2028年頃の実用化を目指しており、市内のゴルフ場で実証実験を行う予定。市は来年3月末まで企業版ふるさと納税を募り、ロボットの開発資金の補助に充てる。同社の藤原広光社長は「高齢化に対応した新しいラウンドのスタイルを創造し、ゴルフの市場を支えたい」と意気込んでいる。