企業向け「スーパーアプリ」目指す、米AI新興Writerの評価額が19億ドルに
AIの「スーパーアプリ」を実現へ
ライターは、7月に金融と医療のユースケースに対応したパルミラ-Finとパルミラ-Medを発表した。これらのモデルは、GPT-4やClaude 3.5などの他社のモデルにに比べて、複数の医療ベンチマークでの精度が高く、使用コストも低いと同社は説明している。 ■AIの「スーパーアプリ」を実現へ 10月に同社は、シンセティックデータ(AIモデルで生成されたデータ)を使用してトレーニングした基礎モデルも公開した。このモデルのトレーニング費用はわずか70万ドル(約1億円)で、1億ドル(約154億円)以上とされるGPT-4のトレーニング費用と比べるとごくわずかな額だ。 ラディカルベンチャーズのパートナーであるロブ・トウズは、「企業の多くは自社でAI製品を開発するためのリソースが不足しているため、AIモデルの導入が遅れている」と述べている。彼は、ライターが「AIワークフロー」と呼ばれる顧客専用のアプリケーションを提供していることが、「素晴らしいプロダクト・マーケットフィット」を達成する要因となっていると指摘した。 「私は、フルスタック提供のほうが多くの場合、最初に限定的なモデルを導入して必要なものを後から追加していくアプローチよりも優れていると考えている」と、トウズは語った。 一方、企業の経営者層は、AIがブランドに悪影響を及ぼすような誤情報を作り出したり、機密情報を流出させたりするリスクを懸念している。「ライターの場合は、基盤となる最先端モデルを自社で管理しているため、自社の運命を自分たちでコントロールできる」とプレムジ・インベストのマネージングパートナーであるサンデシュ・パトナムは語った。 現代の企業は、数百もの異なるアプリケーションを使用しており、従業員が数時間を費やして同じ内容のコンテンツを別のフォーマットに変換している場合もある。ライターのCEOを務めるハビブは、自社のツールがさまざまなアプリケーションと自動的にやり取りできる「スーパーアプリ」となり、人々の生産性を向上させることを目指している。「次の時代は、ソフトウェアが自分でソフトウェアを書いてそれを活用する時代になる」と彼女は語った。
Rashi Shrivastava