「情報弱者が狙われる!」高額報酬を鵜呑みにする若者と、対応に苦慮する「アルバイトサイト」…闇バイトを巡る”終わらない戦い”
自ら進んで応募するばかりか、SNSなどで募集のあった求人に応募したところ、強盗や特殊詐欺といった犯罪の実行役をさせられた、というケースが後を絶たない。若者たちはなぜ『闇バイト』に手を染めるのだろうか。 【マンガ】追いつめられた女性が「メンズエステ」の世界で味わった「壮絶体験」 前編記事『「中学生も逮捕…!」普通の仕事より「ラクして稼ぎたい」…短絡的な思考につけ込む闇バイトの“魔の手”』に引き続き、専門家に聞いた。
情報弱者が狙われている
最近ではアルバイト情報誌などを利用し、「闇バイト」とわからないようにして人を集める手口も問題になった。 連日のように闇バイトの危険性が報じられることで、リクルーターはSNSで人を集めにくくなる。実行役の確保に難航すれば、大胆にも正規の求人情報提供先に入り込んでくる。 闇バイトに気を付けようとしていても、切羽詰まった状況では、高額報酬の誘惑に負けてしまう。 「いわゆる“情報弱者”が闇バイトに関わるケースが増えているように思います。つまり、強盗や法に触れ可て人生を棒に振る可能性があると知らずに応募した人たちが、結果的に犯罪に加担することになる。 問題なのは、既存のアルバイトサイトなどでも闇バイトをあっせんする人たちが求人情報サイトに企業として登録している場合です。募集要項だけを見ていても、闇バイトとはわからないことが問題なのです。 500の法人と4000の法人口座を持っていた組織も摘発されています。登記されていても実態はペーパーカンパニーでした。今後も、実態の見えない会社や実態を装った会社が求人情報サイトのチェック体制を突破しようとするでしょう」(サイバー犯罪に詳しい元埼玉県警の佐々木成三氏) 犯罪だとわかっていても闇バイトに応募してしまう、その心理については前編記事ですでに報じている。怪しいことはわかっていても「高額報酬」の文言につられて、応募する人は後を絶たない。
5万も10万ももらえる仕事は普通ない
もちろんアルバイト情報サイト側も努力をしているが、完全に防ぐことは困難だ。 「アルバイトを探す際に、高額報酬や即金などといったキーワードに惑わされないことが大切です。コストパフォーマンスやタイムパフォーマンスばかりを重視していると、闇バイトの募集に引っかかる確率は高くなります。 特に“見えている情報”だけを鵜呑みにし、判断する若者、子どもたちは危険です。つまりアルバイトを探すときに“高額報酬” “楽して稼げる”といった言葉だけに注目しがちですが、実は見えていない部分に危険が潜んでいるのです。 未経験でも応募可能で、異様に高い報酬を提示していれば、危険な仕事やグレーな内容である可能性が高いと考えるべきです。 経験もないのに1日5万円も10万円も報酬を支払う企業は存在しないと思います。同業他社と比較するなどして注意深く調べるべきです。求人情報誌を利用する際も想像力を働かせなければいけない。 しかし、闇バイトに応募する人は危機意識も乏しい場合が多いのです」(前出の佐々木氏) こうした状況に、求人情報サイトを運営する各社も対策に苦慮している。 取材に対し、「TOWN WORK」や「From A navi」などを運営する株式会社リクルートの広報担当者は次のように説明する。 「弊社では求人掲載前に審査を実施しております。報道であげられているような闇バイトと疑われる求人にかかわらず、審査において不適切と判断した求人は、弊社の求人サイトには掲載されないようにしています。闇バイトに限らず、以前より、求人を出す企業の皆様には可能な限り詳しく業務内容を記載いただくようお願いし、その情報をもとに審査しております。 法令で定められている項目はもちろんのこと、弊社が定めている規約が守られているかどうか、確認を行っています。審査については日々の情報収集に努め、点検を強化する等、適宜アップデートを行っています」