「ダウン=冬」は古い! モンクレール、実は春アウターが好調な理由
連載《イマドキ好感度》Vol.10
モンクレールと言えば、冬のダウンジャケットまたはアウターという印象を持つ人が多いだろう。しかし、そのモンクレール。実は春夏衣料がこのところ世界的に好調で、特に日本でその傾向が目立つという。もちろん、おしゃれでスポーティーなラグジュアリーブランドとあって好感度は抜群だが、そのブランド力は置いておくとして、なぜそこまで春夏シーズンものが好調なのか。その魅力を探ってみた。 【写真で見る】ラグジュアリーブランドとしての歴史を感じさせる、1950年代にイタリアの登山家へK2初登頂用として提供したダウンから、手に入れたい最新の春ものアウターまで写真はここからチェック!
■多様な展開 ベーシックも個性的トレンドアイテムも
ベーシックからトレンドアイテムまで、とにかく守備範囲の広いモンクレール。フランス生まれのこのブランドのさまざまな取り組みのなかで、特に1つ挙げたいのが「モンクレール ジーニアス」だ。 2018年からスタートしたこのプロジェクトは、世界中から有名クリエイターやデザイナーを迎えて、彼らがそれぞれのコレクションを発表していくというもの。常に個性的かつ、トレンド最前線のアイテムが多く発表されることから、単なる防寒具だったダウンジャケットそのものの印象を大きく塗り替えるとともに、モンクレールがおしゃれなラグジュアリーブランドであることを強く印象づけた。
■イタリア登山家への装備提供 注目集める出発点に
ところがモンクレールの歴史を紐解(ひもと)くと、最初はそこに「ファッショナブル」という言葉は見当たらない。その輝かしい歴史は、会社設立の2年後となる1954年に世界第二の高峰、カラコルムのK2初登頂に成功したイタリアの登山家アキレ・コンパニョーニ氏とリノ・ラチェデリ氏に装備を提供したことに始まる。 その後、フランスのアルピニスト、リオネル・テレイが指揮をとるアラスカ探検隊のオフィシャル・サプライヤーに認定された。さらに、1968年のグルノーブル冬季五輪では、フランスのアルペンスキーチームにウエアを提供。 ファッショナブルというより、ダウンジャケットのパイオニアらしく、実用的で信頼のおけるギアとしてウエアの地位を確立していった。そのDNAは、創業から70年以上たった現在でもモンクレールのウエア1着1着の中に生き続けている。