電気自動車の「バッテリー問題」にどう取り組むか
つまり解体に手間とコストがかかることになる。新技術の欠点をあげつらって守旧的になるのはいただけないが、新技術だからと言って全部に目を瞑るわけにもいかない。 こうした問題を多少なりとも回避するには、バッテリーを長く利用することに尽きる。高負荷で作った、あるいは廃棄する製品でも、長く使えば生産時の負荷以上に温室ガスの抑止効果が見込めるし、廃棄の負荷についても対効果で見て軽減できる。 そこで、EVバッテリーのリユースに対する研究が行われている。クルマの動力源としてのバッテリーは寿命が余り長くない。基本的にバッテリーは大電力を一気に使うと減りが速く、ちびちび使うと長持ちする性格がある。そういう意味では、バッテリーにとって電力消費の激しい動力源として使うのは非常に厳しい使い方なのだ。能力が少し落ちただけで、大電力時の消耗速度が早くなってしまう。
EV用バッテリーをリユースする試み
そのため、実はEV用としての寿命を終えて交換される時点で、バッテリーの能力はまだ70~80%も残存している。これを据え置き型のバッテリーとして企業や家庭で電気の貯蔵庫として利用しようという取り組みが行われている。日産自動車は、昨年末から協力会社2社と共にこのバッテリー・リユース事業の実証実験をスタートした。 このシステムは、リーフに搭載されるリチウムイオンバッテリーを24個組み合わせて送電 - 電力消費のバッファーにすることで、電力利用を効率化し、それによって電力料金の10%削減を目指すと言う。もちろんこのシステムのために新しいバッテリーを調達するより、その高性能に比して安価な初期投資で使えるEVのリユースバッテリーには大きなメリットがある。 自動車の動力源として使えるほどの高性能バッテリーとユニットに組み込まれる精密な充電制御機構によって安全性の面でもメリットは大きい。リチウムイオンバッテリーは特に充電時に精密な制御を行わないと、爆発や炎上の他、機能不全などを起こすデリケートな一面を持っている。だから高性能なEV用バッテリーには高度な制御システムが組み込まれており、この制御がリユース時にも安全性とバッテリー寿命に大きく貢献するのだ。