米保険大手CEO殺害、容疑者支持の声 各社は共感商品や酷評レビューに対応
(CNN) 米医療保険大手ユナイテッドヘルスケアのブライアン・トンプソン最高経営責任者(CEO)が射殺された事件。現場付近で「deny(拒否)」「defend(防御)」「depose(追放や宣誓証言)」の単語が書かれた薬きょうが見つかったことを受け、インターネット上ではこれらの言葉をあしらった商品が出現している。 【映像】米保険大手CEO銃撃、容疑者の男を逮捕 このフレーズは保険業界を批判した2010年の書籍と関係している可能性がある。同書のタイトル「Delay, Deny, Defend(遅延、拒否、防御)」は保険業界の戦術を形容するのによく使われる表現だ。ネット通販大手アマゾンのストアでは、帽子やTシャツ、飲み物の容器を含む多数の商品にこれらの言葉が登場した。 事件の容疑者は共感を集め、インターネット上には熱心なファンも現れているが、その理由の一端は人々が保険業界との間で経験するトラブルにある。非営利の保険政策調査団体KFFが2023年6月に発表した調査によると、米国では成人被保険者の半数超が1年に少なくとも1回、保険金請求の拒否を含む問題を経験しているという。 事情に詳しい情報筋によると、アマゾンは同社の規則に違反する商品をサイトから撤去した。前出のフレーズをあしらった商品を何人が購入したのかは不明だ。 一方、電子商取引大手イーベイでは「deny, defend, depose」と書かれた商品の販売が続けられている。同社広報はCNNの取材に、このフレーズ自体は規則違反ではないものの、「暴力を美化または扇動する商品は、先日起きたブライアン・トンプソンCEOの殺害を称賛するものも含め、禁止されている」と説明した。 警察は9日、ルイジ・マンジョーネ容疑者を逮捕。警察関係者がCNNに明かしたところによると、マンジョーネ容疑者が所持していた手書きの文書には「寄生虫は当然の報いを受けた」と書かれ、米国の企業社会への悪意を表明する内容がつづられていた。 マンジョーネ容疑者はペンシルベニア州アルトゥーナのマクドナルドで目撃され、マクドナルドの従業員が警察に通報した。その後、グーグルや口コミサイト「Yelp(イェルプ)」のこの店舗を扱ったページには、従業員を「ネズミ」「密告者」と呼ぶネガティブなレビューが殺到した。 ロイター通信が確認したグーグル上の削除済みのレビューには、「キッチンにネズミがいて病気にかかるが、保険金は支払われない」と書かれていた。グーグルの広報は「レビューは当社の方針に違反しており削除中だ」と説明。こうしたレビューを防ぐため、店舗紹介のページに追加の保護策が講じられている。