灼熱のインドで2000キロをドリブルで走破 大分U-18出身者が挑む破天荒な計画【インタビュー】
「努力する姿、挑戦する姿を大人として示したい。それがスタートライン」
無謀とも言える挑戦に臨もうとしている男がいる。大分トリニータU-18や立命館大でプレーし、現在は会社員として働きながら、2021年に一般社団法人「FC Nono」を設立。サッカーを通じてインドの社会問題解決に取り組んでいる萩原望さんだ。2025年3月から5月までの3か月をかけて、インドのコルカタからニューデリーまで約2000キロの道のりをドリブルで走破する計画を立てている。なぜ、そんな破天荒なチャレンジを決意したのか。壮大な挑戦への思いを聞いた。(取材・文:福谷佑介) 【写真】田中碧が交際宣言した元トップアイドル 「色気がすごーい」最新ショット ◇ ◇ ◇ 灼熱のインド国内を2000キロ、ドリブルで駆け抜ける――。誰も思いつかないようなこの挑戦に、なぜ臨むのか。「大きな理由は4つあります」。2000キロドリブルチャレンジの準備に追われる萩原さんはこう語る。 岡山県倉敷市出身。大分U-18、立命館大を経て、大学卒業後はトヨタ自動車に入社した萩原さん。3年半ほどで退社したのち、紆余曲折を経てNGOの駐在員としてインドに赴任したことが、人生の一大転機となった。インドでも最貧州のビハール州で農村開発に携わりながら、空き時間にその村の子どもたちにサッカーを教えるようになった。最初は男子のみだったが、次第に村の女子もサッカーに参加するようになっていった。 子どもたちと関わる中で、ある思いが芽生えた。「普段の活動で子どもたちには『努力すれば報われる』『挑戦することが大切』と伝えていますが、一番身近な大人である自分は何をしているのか、と。努力する姿、挑戦する姿を見せてあげたい。大人として示したい。それがスタートラインでした」。人として”挑戦する”ということを、身をもって子どもたちに示したいと考えたのだ。 世界第1位の人口を誇るインドは、サッカーに関しては“後進国”だ。また、貧富の差も大きく、農村部の子どもたちはスポーツに触れる機会も限られている。「ビハール州の2つの村で子どもたちにサッカーを教えていますが、1人でも多くの子ども、特に女子にスポーツとサッカーを届けたいんです」。いまだに性差別が色濃く残るインドのために、何かをしたいという思いが募っていった。 「ビハールの子どもたちは女子もサッカーをしているということを、他の僻地の子どもたちにも伝えたい。インドに根付くジェンダーの課題に働きかけたいのです」。自身が関わるビハール州の2つの村だけでなく、インド全体にこの社会課題の解決を広げたいと考える中で、仲間と構想したのが、2000キロを4か月かけてドリブルで走破し、道中の村々で子どもたちにサッカーのワークショップを開くというアイデアだった。