なぜ日本の車いすラグビーは強くなったのか…企業経営者が非営利団体の経営に乗り出すプラス効果とは
営業で選手の強化費用をつくる
そして営業。 「選手の強化プログラムに関しては、できるだけ現場が考えた通りにやれるように、少なくともお金を理由に諦めないようにしようと思いました。ただ当初は連盟内に『アマチュアスポーツなのでお金儲けでやっているのではない』『スポンサー企業に行って何か話す必要があるのか』という意識がありました。しかし営業をする中で、スポンサーが増えていくと選手の強化費用などで自分たちに返ってくることが皆わかってきましたね」(高島氏) パリ・パラリンピックに向けてヘッドコーチから「アウェーでの試合に不安がある」と言われ、パリの前に4回海外遠征を行った。 「資金的な手当てができたので行ってもらいました。車いすラグビーの日本代表は圧倒的に海外遠征が多かったと思います。事前のアウェーの試合で様々なトラブルを経験して、想定外のことが起きても動揺しなくなったのも効果として大きかったです」
マネジメントで「決め方を決める」
「やっぱりちゃんとお金を稼ぐということに尽きるんです」と高島氏はいう。 「助成金やスポンサーを取りに行くこともありますが、大会をやってどう収益を上げるのかもわかってきました。グッズ販売も取組みを始めており、これからも強化していこうと。他にもふるさと納税や有料のファンクラブなど、やれる余地はまだあります。オーソドックスにやるべきことに人を配置して実行する。オイシックス社の社員でも手を挙げてくれた人たちに副業的に入ってもらいました」 マネジメントに関して高島氏は「これまで経験した団体の中で圧倒的に難易度は高かった」という。 「団体はボランティアの人たちが大半です。この人たちは、強い思いを持っているのですが、思いがバラバラでした。また給料をもらっていないのでトップの話を聞く理由がないし、人事権も関係ありません。だから連盟の価値観を定めることをまず行いました」 そしてもう1つ行ったのが「決め方を決める」ことだった。 「それまではすべてのことに関して、すべての人で話し合うみたいな感じでした。決め方を決めるというのは、シンプルにマネジメントそのものですが、今振り返っても役に立ったと思います。またボランティアの方に対しても有償の規定を明確に決めて、全体的に整備しました」