レバノン戦闘激化、「国連軍は危険にさらされている」…ラクロワ国連事務次長が活動継続に懸念
来日中のジャンピエール・ラクロワ国連事務次長(平和活動担当)は22日、東京都内で読売新聞の単独インタビューに応じた。イスラエルとイスラム教シーア派組織ヒズボラによるレバノンでの戦闘の激化で、地域の平和維持を担う国連レバノン暫定軍(UNIFIL)が「意図的な攻撃も受けて危険にさらされている」と訴え、活動環境の悪化に懸念を示した。 【写真】女性記者は「報道」と書かれた防弾チョッキ着用していたが…頭部に銃撃受け死亡
国連平和維持活動(PKO)の一環で、UNIFILは1978年に設立された。イスラエル軍がレバノンに侵攻した2006年の紛争後に増強され、レバノン南部での停戦監視などを行ってきた。
イスラエル軍地上部隊がレバノン南部に侵攻を始めた今年10月には、イスラエル軍がUNIFILの陣地内に戦車で突入し、施設を砲撃する事態が発生した。これを受け、ラクロワ氏は「イスラエルとレバノンに入った際、双方に(UNIFILの)部隊の安全確保を求めた」と明らかにした。
イスラエルとヒズボラの停戦に向けては「軍事的解決策はなく、(各国の)外交努力を全面的に支持する」と述べた。レバノン南部で同国政府が承認した軍事要員や兵器以外の存在を認めないと取り決めた06年の国連安全保障理事会決議の履行が欠かせないとの認識を示したものだ。
その上で「前提条件が満たされれば、UNIFILは双方を支援する準備ができている」と呼びかけ、双方の円滑な撤収などを後押しする考えを示唆した。(国際部 宮嶋範)