札幌大谷「歴史的」勝利 粘りの投球、守り手堅く /北海道
<2019 第91回センバツ高校野球> 第91回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)で24日、札幌大谷は米子東(鳥取)に4-1で勝利を収め、2回戦に駒を進めた。札幌大谷は一回に先頭打者が本塁打を放ち先制し、三回にも3点を追加した。その後は得点につながらない状況が続いたが、粘り強い投球と手堅い守りで、甲子園初戦を勝利で飾った。道勢のセンバツ勝利は4年ぶり。【土谷純一、塚本恒、黒詰拓也】 【熱闘センバツ全31試合の写真特集】 ……………………………………………………………………………………………………… ▽1回戦 米子東 001000000=1 10300000×=4 札幌大谷 一回裏、先頭打者の北本壮一朗選手(3年)が本塁打を放ち、先制すると、スタンドから見守っていた父満さん(49)は「驚いた。よく打ってくれた」と喜んだ。 立ち上がりで緊張しているようにも見えた太田流星投手(3年)は三回表、先頭打者に安打を許し、1点を返され同点に。 そんな太田投手を援護するかのように、三回裏の攻撃では、2死二塁の好機で石鳥亮選手(3年)が中越えの三塁打を放つなど、3点を追加。一気に点差をつけた。4月から兄と同じ札幌大谷に進学する石鳥選手の弟颯さん(15)は「家でもいつも素振りをしている。その成果をここでも発揮していて、さすがだと思った」と兄の活躍をたたえた。 後半に入ると、好機にあと1本が出ず得点が動かない。スタンドでは札幌大谷の元マネジャーで今月卒業した佐藤梨絵さん(18)が、後輩たちの晴れ舞台を見つめていた。「北本がしっかり引っ張っている。全員の気持ちがプレーに出ているので、このまま勝てるはず」 六回表、太田投手の制球が乱れ、2四球1死球を出し2死満塁。今日は登板せず、一塁を守った西原健太選手(3年)は「何とか太田を助けたい」と無我夢中で一塁横のフェンス際に飛んだ打球を捕り、窮地をしのいだ。 九回表、太田投手がスライダーを軸に3者連続飛球で打ち取ると、スタンドからは札幌大谷の勝利に大歓声が飛んだ。太田投手の父信一さん(51)は「はらはらした場面もあったが、勝てて良かった」。大きなガッツポーズで息子の健闘をたたえた。 ◇大吹奏楽団まとめ ○…札幌大谷は同じ真宗大谷派の京都大谷(京都)、京都光華(同)、大阪大谷(大阪市)の3校との合同応援。143人もの吹奏楽連合がナインにエールを送った。指揮者の札幌大谷2年、森野杏里紗さんは普段、19人で活動している。試合前まで「遠征も、大人数で応援するのも初めてだけど私が引っ張らないといけない」と重責を感じていた。甲子園のアルプスに立ち、森野さんは「大人数なので、いつもより大きく指揮をした。選抜の舞台で指揮ができて楽しい」と笑顔で大所帯をまとめ、勝利を呼び込んだ。 ◇道勢6年ぶりの初出場初戦突破 道勢がセンバツ初出場で初勝利を挙げたのは2013年(第85回大会)の遠軽以来、6年ぶり。初出場で初戦を突破したのは1966年(第38回大会)の室蘭工をはじめ、札幌大谷を含む9校に上る。中でも2校出場の75年(第47回大会)は、札幌商と道日大がともに初戦を突破しており道内に一足早い春の便りを届けた。【三沢邦彦】 ……………………………………………………………………………………………………… ■球詩 ◇持ち味光った本塁打 札幌大谷・北本壮一朗遊撃手(3年) 初出場で挑んだ甲子園1回戦。周りの仲間たちが緊張気味なのを悟ると、「いつも通り思い切って打つ」と心掛け、一回裏の初打席に立った。 五十嵐大部長が「この冬で最も体が大きくなったのは北本」と話すように、体全体に筋力がつき、一回り大きくなった。 しかし、昨秋から冬にかけ、けがに苦しんでいた。道大会準決勝で左肩を脱臼。ようやく治って挑んだ神宮大会2回戦で肋骨(ろっこつ)を骨折してしまい、練習を再開できたのは年明けの1月8日だった。 落ち込んだこともあったが「あせっても仕方ない。できることをやるだけだ」と地道にトレーニングを積んできた。船尾隆広監督にも「ちゃんと治して、甲子園に間に合わせてほしい」と励まされてきた。 甲子園の初打席で、「何も考えずに打った」という打球はぐんぐんと飛距離を伸ばして本塁打となり、大きな先制点を得た。「持ち味の思い切ったプレーが甲子園で出せて良かった」と振り返り、「次も1番としてチームに勢いをつけたい」と誓った。【土谷純一】