就職を考えたら、これからは「文系」ではなく技術系の大学ですか?その分費用は高くなるのでしょうか…?
進学する大学を選ぶときの基準として、何が学びたいかだけではなく、就職で有利になる知識やスキルを身につけられるかどうかを基準にする人は多いでしょう。「理系のほうが就職に直結しやすい」「技術分野は人材が不足傾向にある」というイメージから、技術系大学を志す人もいるのではないでしょうか。 そこで本記事では、技術系大学は本当に就職に有利なのかを解説するとともに、大学の学費が文系と比較して高いかどうかもまとめました。
技術系大学が就職では有利
厚生労働省が発表した「令和4年度大学等卒業者の就職状況調査」の結果によると、大学の文系・理系別の就職率は、理系:98.1パーセントに対して、文系:97.1%です。その差は1ポイントしかなく、理系と文系で就職の有利さには、それほど違いはないように見えます。 しかし大学通信が、医科・歯科の単科大学などを除いた4年制大学を対象に実施した、2023年の実就職率(※)の調査では、トップの愛知工業大学をはじめ、工業系や医療福祉系など、技術系の大学や、技術系の学部をもつ大学が上位に名を連ねています。 ※就職者数÷(卒業生〔修了者〕数-大学院進学者数)×100で算出した割合。 表1に、2023年の実就職ランキング上位(卒業生1000人以上の大学)をまとめました。この結果からは、技術系の大学・学部は、文系の大学と比べて、就職に強い傾向があることが見て取れます。 【表1】
大学通信「2023年実就職率ランキング」をもとに筆者作成
技術系の大学・学部卒業者はどんな職につくことが多い? 需要は?
技術系の大学・学部の卒業者は、エンジニアや建築士、プログラマー、研究員など、専攻分野の技術職に就職するケースが多く見られます。 《技術職の例》 ・研究 ・エンジニア ・品質管理、生産管理 ・開発設計 ・生産技術 ・設備保全 ・自動車整備士、航空整備士 ・建築士 ・プログラマー、システムエンジニア ・土木・測量技術者 需要の拡大にともない、人材の不足が指摘されているIT分野や、若手離れが問題になっている製造業など、人手不足にあえぐ分野は多く、技術系の大学・学部の卒業者の就職需要は、今後も続くことが予想されます。