インバウンド需要で鉄道会社の業績急回復 京阪と南海が過去最高益、ホテルも好調
新型コロナウイルス禍の収束と為替の円安基調によるインバウンド(訪日客)の急増で鉄道会社の業績が急回復している。15日に出そろった関西の大手私鉄4社の令和6年3月期連結決算では、全社が増収で2社が過去最高益を計上した。訪日客需要で鉄道会社が手掛けるホテルの好調も目立っている。 【写真】訪日客らでにぎわう大阪心斎橋筋商店街 京阪ホールディングス(HD)と南海電気鉄道の最終利益が過去最高だった。訪日客の増加を受け、関西国際空港と大阪市中心部を結ぶ南海の特急「ラピート」は、乗車率が66・4%とコロナ禍前の令和元年度(55・2%)を超えて過去最高となった。 訪日客は各社が手がけるホテルやレジャー関連事業も押し上げている。阪急阪神HDでは、ホテル事業の売上高が前期比で185億円増の627億円となった。京阪HDも、新規のホテル開業などの効果でレジャー・サービス業が大幅増収だった。 ただ、鉄道の乗客者数自体は多くの社でコロナ禍前の9割程度にとどまっている。在宅勤務の拡大など生活様式が変化したことが要因とみられ、「7年3月期も同水準になる」(阪急阪神HD幹部)見込みだ。 阪急電鉄では7月から同社初の座席指定サービスを開始し、収益基盤の強化を図る。京阪HDも、有料座席サービスの拡充を進めている。