【特集】自らの限界超え、再び頂点へ それぞれの想い懸けた実力派決戦 日本学生陸上競技個人選手権
■「感覚的にも悪くなかった」 大記録マークに会場歓喜 期待の学生スプリンター・栁田大輝
今回、番組が密着したのは、6月14日から2日間、神奈川県でおこなわれた日本学生陸上競技個人選手権。5月におこなわれた関西インカレとは異なり、個人の日本一を競う大会で繰り広げられた学生アスリートたちの姿に、大きな注目が集まりました。 今大会の目玉は、陸上の花形・男子100m。中でも、大きな注目を集めていたのが、東洋大学3年生の栁田大輝選手。栁田選手は、昨年の日本選手権2位を獲得後も、アジアチャンピオンに輝くなど、世界を相手に活躍する学生スプリンターです。10秒00を切れば、自身初のオリンピック出場に近づく大勝負。強い風が吹くことで有名な会場のレモンガススタジアム平塚の風に乗って、大記録が紡ぎ出されることに、観客からも熱い期待が寄せられました。 そんな中、迎えた男子100m準決勝。出だしで既にリードをとった栁田選手は、中盤の伸びやかな加速で一気に周囲と差をつけ、堂々の一着。気になるタイムは、追い風参考記録ながらも、圧巻の9秒97。自身初の9秒台を叩き出しました。 (栁田)「走っている感覚的にも悪くないかなと思っていて、ゴールした時に、案の定、想定していたくらいのタイムが出たので…。平塚の風にやられたかな、という感じです。追い風参考記録とはいえ、初めて9秒台を出せましたが、公認になってほしかったなというのが、正直なところです」 笑顔の中にも、悔しさが滲む結果となった準決勝。公認記録での9秒台に期待がかかる決勝では、予選で自己ベストをマークした大東文化大学の守祐陽選手にも注目が集まりました。 決勝でも、栁田選手の好スタートが光りますが、守選手も負けじと喰らいつきます。しかし、最後には栁田選手が後続を振り切る形で、圧巻の一着。見事、日本学生個人選手権のチャンピオンに輝きました。結果は、10秒13の好記録。今後のさらなる活躍に、大きな期待と注目が集まります。
■「自己ベストとU20日本新出せて嬉しい」 女子100m・200mで2冠達成 注目のスーパールーキー・山形愛羽
男子同様、大きな盛り上がりを見せたのは、女子100m決勝。注目は、昨年の日本インカレで表彰台を独占した甲南大学3年生の奥野由萌選手、岡根和奏選手、そして2年生の藏重みう選手の3人です。実力派集団に対するは、昨年の全国インターハイで100mと200mの2冠を達成した、注目のスーパールーキー・山形愛羽選手(福岡大学1年生)。さらに、前回チャンピオンの青山学院大学・石川優選手も名を連ね、学生トップクラスのスプリンターが勢ぞろいしました。 迎えた決勝、序盤こそ横一線で凌ぎを削り合っていたものの、中盤でリードしたのは山形選手。後ろから喰らいついていた甲南勢との攻防を繰り広げながらも、ゴール前では山形選手が振り切る形で、歓喜の一着。すがすがしい表情と共に電光板に映し出されたのは、11秒41という大記録。12年ぶりのU20日本新記録に、会場も歓喜の渦に包まれました。 (山形)「無事に11秒41という自己ベストと、U20日本新記録を出すことができて嬉しいです」 100m決勝の翌日におこなわれた女子200m決勝でも、スーパールーキー・山形選手が快走。前半からリードを見せ、流れを作った山形選手。レース中盤では、同じく注目選手の日本体育大学2年生・フロレスアリエ選手との攻防も見られましたが、コーナー回って最後の直線で、山形選手が一気に飛び出す形でフィニッシュ。23秒53という素晴らしい結果で、堂々の優勝を飾りました。 100mとの2冠を達成した大型ルーキーの活躍に、今後も大きな注目が集まります。