ボクサーはなぜ、パンチのときに「シュッ!シュッ!」と口で言う!? ボクシングジムで聞いてみた
ボクサーがパンチを出すときに、「シュッ! シュッ!」と言うてるのはなぜなんでしょうか? 【関連】サンドバッグの中身は砂ではないってホント? メーカー担当者「棒を使って、3人がかりで……」 「もしかして、風を切るような効果音を口で出して『俺のパンチはすごいんだぞ』と相手を威圧してんの?」という質問が届きましたんで、ボクシングジムに行って聞いてみました。 ジムのトレーナーさんは、「口で効果音? そんなわけないでしょ!」と大笑いしながら、詳しく説明してくれました。 ボクシングって、一見、息を止めたほうがすごいパワーを込めた力強いパンチが打てそうなんですけど、息を止めて力むとスピードが出ないんですって。 スピードが出ていないと相手に悟られて避けられてしまうし、次のパンチを繰り出すのも遅くなり、その間に相手にやられてしまいます。ですから、息を吐きながらパンチを出すのが大事なんです。 トレーナーさんから、「最初は、ただ単に『は~あ~』と息を吐きながらパンチを出してみてください」と言われてやってみたのですが……。 「ほら、最後まで力が入らないでしょ」というトレーナーさんの言葉の通り、確かに力が入りません。 次に言われたのは、「たとえば、『ウッ!』とか『カッ!』とか、声を出しながら息を吐いてパンチを出してみてください」とのひと言。 実際にやってみると……。確かに、力が入りますし2発目も出しやすくなりました。 最後に、「シュッ!」と言いながらパンチをしてみますと、これも同様に力が入り、スピードも少し上がりました。 トレーナーさんに、「同じ声を出すのでも『ウッ!』とか『カッ!』よりも、『シュッ!』のほうが楽にパンチが出せませんか?」と問いかけられたのですが、言われた通り、「シュッ!」のほうがスッと軽くナチュラルにパンチが出せますね。 ボクシングは長いラウンドを闘うわけですから、スタミナ勝負です。「ウッ!」とか「カッ!」とか言いながらパンチを出していたら、力みが強くてスタミナロスになってしまうんです。 防御面においても、口を開けるように息を吐いていると、パンチをくらったときのダメージがきついんだそう。なので、なるべく口を開けない形で出せる「シュッ!」が都合がいいんです。 それに、「シュッ!」と言うと自然とお腹に力が入るんです。お腹に力が入って固くなる。そう、ボディ防御にもなるので、理にかなった素晴らしい呼吸法としてボクシング界では世界共通なのだと説明してくださいました。 トレーナーさんは最後に、「でもね、いまやボクシングでは『シュッ! シュッ!』とやるのが当たり前になっていて、うちのジムにいるプロボクサーでも意味を知らずに『シュッ! シュッ!』と言いながら世界を目指してますわ」と笑ってはりました。 ※ラジオ関西『バズろぅ!』2024年10月12日放送回より (『バズろぅ!』ラジオパーソライター・わきたかし)
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