名スカウトが見た甲子園。プロで使える人、使えない人。
夏の甲子園も、いよいよベスト4が出揃い、クライマックスが近づいてきた。例年ならば、ネット裏のプロ野球のスカウトは、この時期はすっかりと退散するものだが、今年の甲子園は東海大相模の小笠原慎之介、関東第一のオコエ瑠偉という2人のドラフト1位候補が残っているため、最後までマークを続けるスカウトが目立っている。 では、今大会でプロのスカウトが見初めた選手は誰だったのか。逆に注目は浴びていたが、プロでの活躍に疑問符のつくのは誰なのか。ヤクルトのスカウトを33年間務め、石井一久、池山隆寛、古田敦也、宮本慎也らを発掘した名スカウトの片岡宏雄氏に話を聞いた。 片岡氏は、大会前にTHE PAGEで「今大会の特Aは小笠原とオコエの2人だけ」と、見ていた。ここまでの大会を見た上で、その見方は変わらないという。 「特Aは、小笠原とオコエの2人しかいないね。小笠原は、スピードだけでなく安定感もある。下半身もしっかりとしているし、左の本格派というのがなかなかプロでも出てきてないので、おそらく複数球団が1位で競合するだろう。プロのスカウトは、ピンチでの心理や性格もチェックするが、ピンチでのマウンドさばきも見事だった。オコエは、足だけで食える。甲子園の守備でも随所にセンスを見せた。繰り返すが、あの身体能力は、日ハムの陽岱鋼や新庄剛志になれる素材。しかも、まだ未完成の魅力がある。映像を見る限り、性格的には心配はあるんだけど(笑)」 この2人を除いた中で、いわゆるA評価を片岡氏が与えたのは、ピッチャーでは、霞ヶ浦の綾部翔、2段モーションで物議をかもした専大松戸の原嵩の2人。 「2人ともスケールが大きかった。時間はかかるだろうが、プロで育てたい伸び幅を持った素材」 逆に評価を落としたのは、東海大相模の吉田凌と、仙台育英の佐藤世那。敦賀気比の平沼翔太に関しては、野手としての評価だという。 「吉田は、去年の22三振を奪った頃に比べて、切れがなくなった。昨年の夏はどこまで伸びるかが楽しみだったが、空振りを取れるスライダーが曲がらなくなった。佐藤も馬力はあるが、あのアーム式の腕の使い方はこわい。平沼はピッチャーでなく野手だろう。素材としては雄平より上だ」 野手では、準々決勝の秋田商戦で本塁打を放った仙台育英のショートストップ、平沢大河、花咲徳栄のセンター、大滝愛斗の名前が挙がった。 「平沢は動きが鋭くパンチ力もある。ドラフトでは人気になるだろう。大滝は足もあって身体能力が高い」