「日本の主婦業の“当たり前基準”は高すぎる」料理はしない、洗濯物は干さない…海外の家事事情と比べてみたら…
仕上げは子ども自身に!
さらにアメリカ、ニュージーランドに住んでいたことがある友人から聞いて私が驚いたのが、「パンとマヨネーズとハムのパッケージを袋に入れて子どもに持たせて、ランチタイムに本人がサンドイッチにしていたよ」という話。 それには驚いたけれど、落ち着いて考えてみれば、真似できる部分もあるんですよね。さすがにハムをパッケージのまま持たせることには抵抗があったとしても、パンと具を別に持たせて、自分で挟ませるのは面白いかもしれないと思いました。野菜の水分がパンに染み込んでしまうのを防ぐために、バターを塗る必要もなくなりますよね。 子どもの長期休暇などでのお弁当作りは、働くママにとってはかなり気合が必要ですが、そんな風に自分がやることのタスクを減らす方法もあるんだなと感心しました。インスタで映えるお弁当を見ては、「我が家のお弁当は質素かな」なんて思っていましたが、充分頑張っていたなと思えました。 そして、海外に暮らす日本人ママ達みんなが口を揃えて言うのが「日本の学校給食制度がうらやましい!」ということ。栄養バランスがしっかり考えられていて、バラエティ豊かなメニューを提供してもらえる。お昼にバランスの取れた食事を食べていることだけでも十分、日本の子どもたちは恵まれているのだと思います。
日本って本当は、主婦業がもっとラクにできる国かもしれない
そんな、おおらかに主婦業をこなす海外在住経験者の友人たちですが、日本で暮らしていた頃はみんな「もっと頑張っていた」というのです。 「日本には、レストランや惣菜が利用しやすい価格で揃っているのに、なかなか使っていなかったなー。たまに利用しても、なんとなく罪悪感があった」 外食の低価格化が進み、選択肢も豊富にある日本の主婦が、それを頻繁に利用することに心理的ハードルがあるのは、「母親はこうあるべき」「妻はこうあるべき」そんな思い込みの深さがあるのかもしれません。人種や宗教などが様々な国であれば、隣の人と異なる価値観を持っていても当たり前に感じられるけれど、島国の日本では、無意識に「周囲となるべく同じにしなければ」と思っているのかもしれないと感じました。 また、アメリカで暮らしていた友人は「親が子どもにできることは少ないから、たくさんの人の手を借りて育てなさい」というような考えを、子育てを終えた世代や教育専門家がよく話していたことが印象に残っているそうです。だから、周囲にはシッターを利用している家庭も多かったそう。 子育てにおいても、私たちはもしかしたら三歳児神話のように「親がついていなければ」「母親がやるべき」などと考えすぎているのかもしれません。 自分だけで抱え込まないで、周囲や、社会のサービスを積極的に頼る。 まずは、そんな意識から改革が必要だと、海外の話を聞いて私は感じました。
【Profile】唐仁原けいこ
3人子育て中で在宅フリーランスとして働く。 執筆、講演、セミナー企画、代理店など活動は多岐に渡る。 2020年6月に「主婦業9割削減を目指す」と宣言して書きはじめたブログが話題になり書籍化。各種メディアから取材を受ける。 「こうあるべき」から解放されると評判の主婦業9割削減エッセンスを伝授した人は述べ1万人以上。 ジェンダーの平等、女性活躍推進、少子化 今の日本が抱える課題に一石を投じる発信だという声をいただく。