「大事なのは日常を取り戻すということ」――原田龍二・愛夫妻が語る“家族の修復”までの道のり
不祥事にとらわれるのでなく、これからどうしていくかを一番に考えた
――ぎこちない家庭の雰囲気をどう修復したのですか。 愛さん: 大事なのは日常を取り戻すということ。家に引きこもりがちだった夫にも、息子のサッカーの試合があると、なかば強引に連れ出していきましたし、結果そういうことがリセット、リスタートにつながったと思います。最初は「あの夫婦、来てるよ」なんていう相手のチームの方の視線は感じましたけど、そこは避けて通れない、仕方ないです。けれどそういうことを経て、もとの関係に徐々に戻れるのではないでしょうか。 そして、本当にありがたかったのが息子のサッカーチームの仲間でした。あんなことがあったのに、それを言ってくるような子がひとりもいなくて、優しくて、静かにそっとしていてくれる。とても理解があって、私が「みんなごめんね、恥ずかしいことになっちゃって」と言ったら、「もう笑っちゃったよ」と笑顔で返してくれて、シリアスにならずにすみました。本当に周囲の方に恵まれましたね。腫れ物に触るような感じではなく、普通に接してくれることってすごいことだし、ゆっくりと癒やされるようなあたたかみを感じます。 ――ようやくいま夫婦関係を修復されましたが、振り返ってみて、乗り越える秘訣はありますか。 愛さん: 人それぞれ事情や状況は違いますから、無理に乗り越える必要もないと思いますが、私の場合は、自分がまだ家族でやっていきたいという気持ちがあったので、起こってしまったことにずっと心をとらわれるのではなく、これからどうしていくかということを一番に考えました。嫌なことは見ない、聞かない。さらに言うと、こうした問題について夫婦が延々と話し合ってもあまり意味がないと思うんです。たとえば不審に思っていることを問い詰めたとしても、当事者は本当のことをたぶん言えないですよね。嫌な時間が長くなり、時間がかかるだけで、あまりいいことはありません。今回を含めこれまでの経験から、どこかで踏ん切りをつけるというか、スパッと気持ちを切り替えることが、家族の危機を乗り越える手助けになったような気がします。主婦業の先輩が、「何よりも一番いいのは、普通にご飯を作って、お掃除をして、元気に過ごすこと。そうしていれば怖いものはない、大丈夫よ」と助言をくださったんです。でも、本当にそのとおりでした(笑)。