「大事なのは日常を取り戻すということ」――原田龍二・愛夫妻が語る“家族の修復”までの道のり
子どもたちの真剣な表情を見ていると、家族で過ごした今までのことが思い起こされる
――母親の立場を優先する気持ちはよくわかります。では妻としての気持ちは、どう折り合いをつけたのですか。 愛さん: 夫とはドラマで知り合い(愛さんは元女優)交際10年、結婚20年の30年に及ぶ長い関係です。平穏なようでいても、恋人や夫婦にはいろいろありますよね。実は交際期間中彼の浮気が発覚し、その時に悩み苦しんだことがあって。私の中にそういうことでくよくよしたり悲しんだりしたくないという気持ちがどこかにずっとある。だから今回もショックがある一方で、あの時のように苦しみたくないという思いが瞬時に働いて、心の中でスパッと線引きしてしまう。いざとなったら自分を大切にしなきゃというのを過去の体験から学んでいましたので、自然と自己防衛しているのかもしれません。だから切り替えが早くて、次に進んでいこうと思うんです。 ――ではその後、お子さんとどんな話をしたのですか。 愛さん: 子どもには私の素直な気持ちを打ち明け、相談しました。「ママとしてはパパのしたことは許せない行為だから、離婚したほうがいいのかな」。すると子どもたちは「やっぱりパパは大好きだから、別れないでほしい」と。子どもたちの真剣な表情を見ていると、家族で過ごした今までのことが思い起こされるんですよね。楽しいことや悲しいこと、一緒に分かち合ってきたこと…。夫についてはダメなところを差し引いても、私の中でもまだ好きな部分がありましたから、もうこれで終わりだっていう気持ちには不思議とならなかった。子どもたちも「パパと一緒の家族でいたい」と言うし、だから、気持ちをあらたにして頑張るしかないのかな、と考えました。ならば、あとは乗り越えるしかない、元気に前を向いていこう、と決めたんです。 ――一方で、旦那さんはお子さんにどう接したのですか。 愛さん: 夫はまず子どもたちに謝って、私にも謝って、「二度とこういうことがないようにします。これからを見てください」という話を必死にしていました。私たちはそれを受け止めて、頑張っていこうっていう感じになったのですが、息子は尊敬していた分裏切られたっていう気持ちが強かったみたいで、父親に対する怒りをダイレクトに伝えていました。一時期息子は精神的にしんどそうでしたけど、今はどうにか乗り越えてくれましたね。 で、ショックを受けている私たち以上に落ち込んでいたのは夫のほうで、見る見るうちにげっそりやつれていき、こちらが心配するような有り様。そんな夫を一番気づかっていたのは娘で、多感な年頃ですからあんなことはもっとも嫌がるはずなのに、「パパ、すぐ気持ち切り替えよう」と率先して声をかけて励ましてくれる。普段から夫は娘をすごくかわいがっていて、パパの優しさをよくわかっているからか、娘は潔い対応をしてくれましたね。だからずいぶん救われたと思います。