是枝監督、カンヌ受賞作は「スイミー朗読してくれた少女に向けてつくった」
今回の受賞作は、貧困など現代の日本が抱える問題を包摂しているとの見方もあり、「一部で僕の映画が物議を醸しているような状況になっている」と自嘲まじりに笑う。 2000年代後半から、ファミリードラマを掘り下げることを追求したという是枝監督だが、受賞作を含めた最近の2作品では「社会性や日本の抱える問題の上に、家族を置いてみて、そこでの接点をどう描くか。その摩擦にどう目を向けてみるか」という問題意識で制作してきた。
「誰か一人のために作れ」
会見では、記者から「聴衆イメージとして政治家や官僚はあったのか」との質問も出た。それに対して是枝監督は「作品は誰か一人のために作れ」とテレビ業界で働いていた時代の教えを紹介しながら、「いま気づいた。今回の作品は、スイミーを読んでくれた女の子に向けてつくったと思う」と振り返った。