謎の言葉を放ちたいまつを振り回す男たちに「カルチャーショックを受けた」…高校時代から坊津に18年通い続けるカメラマン、地元へ恩返しの写真展開催へ
高校時代から鹿児島県南さつま市坊津に18年通い続けているプロカメラマンがいる。鹿児島市出身で福岡市在住の山野雄樹さん(36)。十五夜などの伝統行事をはじめ住民の日常を記録してきた。その集大成ともいえる写真展を1月4日から現地の輝津館で開く。「坊津やそこで暮らす人たちへ恩返しの気持ちを込めた」という51点が会場を埋め尽くす。 【写真】〈別カット〉坊津に18年間通い撮影した写真を並べる山野雄樹さん=南さつま市の輝津館
高校時代の2006年、写真サークル・鹿児島フォトサロンに入り、メンバーと上之坊集落の十五夜行事「火とぼし」を撮影したのが坊津通いのきっかけ。「男たちが謎の言葉を放ちながらたいまつを振り回し、子どもが火花を消して回る光景。カルチャーショックを受けた」と振り返る。 その後、福岡の九州産業大学写真学科に入学。大学院在学中には、枕崎のかつお節工場を舞台にした「工場の少女達」で、新進写真家に贈られる名取洋之助写真賞の奨励賞を受賞した。現在はフリーで活動し、同大学非常勤講師を務めるほか、坊津や桜島の撮影も続ける。 26日の作品搬入では、十五夜踊りや綱引き、「坊ほぜどん」などの伝統行事に打ち込む住民の表情や準備風景を活写した作品を並べた。幼い子が祭りを担うまでに成長した姿もあり、18年の歳月が写し込まれている。正面床には、132センチ×95センチの写真計25枚を巨大モニュメントのように敷き詰めた。
山野さんは「伝統の継続は年々難しくなっているが続けようと皆頑張っている。第二の故郷といえる地で撮らせてもらった写真を通じ、この18年間の坊津の営みや姿を地元の多くの方に見てほしい」と話している。 「坊津-18年の記憶-山野雄樹写真展」は2月9日まで。無料。
南日本新聞 | 鹿児島