日本国籍を取得している外国人でも「生活保護」が受けられる?審査は厳しくなるの?
生活保護は日本国憲法の理念に基づいた制度ですので、対象になるのは日本人だけなのでしょうか? ▼「生活保護」の受給要件とは? 親族への扶養照会は必須なの? 日本に帰化している外国人が生活に困窮している場合に「日本人と同じように生活保護を受けられるのかを知りたい」という方もいらっしゃると思います。 本記事では「帰化」とはどのようなことなのかとか、帰化している外国人が生活保護を申請した場合の審査は厳しくなるのかということも含めて、ご紹介します。
「帰化している外国人」とは?
「帰化」とは簡単にいうと「国籍を変更すること」であり、外国人が日本に帰化した場合、それまで持っていた国籍を失って日本国籍を取得することになるのです。日本に帰化するための条件には「5年以上続けて日本に住んでいること」「年齢が18歳以上であること」「素行が善良であること」などが挙げられます。 ただし「日本で生まれた」「日本人の配偶者がいる」「日本人の子である」など、日本と特別な関係を持つ外国人の場合は、帰化の条件が一部緩和されるため、確認しておきましょう。
帰化していたら生活保護の対象になるのか?
生活保護法第1条により「外国人は法の適用対象とならないが、生活に困窮する外国人に対しては、一般国民に対する生活保護の決定実施の取り扱いに準じて、必要と認める保護を行う」とされています。 日本に帰化すると、日本人と同等の権利を持つことになるため、生活保護の対象となる可能性があります。また、在留資格を持つ「永住者」や「定住者」「日本人の配偶者」なども同様です。 生活保護の受給要件は、基本的に日本人と同様のため、以下の要件を満たしていれば、受け取れると考えてもよいでしょう。 ●資産や貯蓄を所有している場合は生活費に充てる ●働ける場合は能力に応じて働く ●年金や手当などを受給できる場合は活用する ●親族などに援助を依頼できる場合は依頼する 上記の要件を満たしていて、なお収入が最低生活費を下回る場合に、生活保護を受給できます。
帰化している外国人の審査は厳しい?
平成22年に大阪市で問題提起された「中国国籍の方の生活保護集団申請」を機に、外国人による生活保護申請に関する取り扱いが慎重に行われるようになりました。 この事例は、中国国籍の方が入国して、外国人登録が認められた直後に生活保護申請を集団で行ったというものです。定住が認められた外国人は生活保護の対象になるため「保護決定せざるを得ない状況にある」と判断されました。 しかし、この件が「入国管理法の運用や生活保護制度の準用に問題があるのではないか」と疑問視され、外国人への生活保護の準用が厳正化されるようになりました。