ルイ・ヴィトン流ドレスアップ術 煌めきコーデの極意、「クルーズコレクション」から
■リボン×フリンジ、シアー×レザー…装いに奥行き
リボンやフリンジといったディテールもドレスアップの特別感を高めるのに役立ちます。全体のシルエットが派手でなくても、適度なゴージャス感を演出できます。 シャイニーなレザーやシアー素材との「合わせ技」も効果的です。 シアー生地で仕立てたトップスとロングスカートのセットアップが優美なシルエットを描き出しました。 モノトーンを基調にしながらも、華やぎが備わっているのは、柄のように配した立体パーツや、レザーベルトにあしらったリボン風ディテールの効果です。 両袖部分にはたっぷりとフリンジを配して流動感をプラス。「シアーとレザー」という異素材ミックスが装いの奥行きを深めています。
■ロマンチックとノスタルジーが交錯 レトロ調の魅力
懐かしげなムードを漂わせるレトロ調の装いが勢いを増しています。 贅沢(ぜいたく)でロマンチックなウエアも、やや古風な雰囲気と交わらせれば、穏やかな印象に。落ち着きと大人感が備わるのも、レトロテイストのいいところです。 ノースリーブ・トップスとフリルスカートは、メタリックな花柄で埋め尽くされて優美な着映えに。まばゆいはずのメタリックなのに、きつく見えていないのは、ノスタルジックな色調を帯びた花柄のおかげです。 流麗なフリルスカートには大胆なスリットが施され、あでやかムードが濃くなりました。くすんだ色調がかぶさって、煌めき加減が適度に抑えられています。
■創業170年 2025年クルーズはスペイン文化に敬意
「ルイ・ヴィトン」は創業者のルイ・ヴィトンが1854年に事業を興してから170年の歴史を重ねてきた、フランスを代表する老舗メゾンです。 草創期からの製品であるトラベルラゲージをはじめ、圧倒的な知名度を誇るバッグやプレタポルテ、靴、アクセサリーなどを幅広く手がけています。 2025年のウィメンズ・クルーズコレクションは、スペイン第2の都市バルセロナにある、建築家のアントニ・ガウディが設計したグエル公園で発表されました。 建築を思わせる立体感やボリュームと、流れるようなドレープの対比をエレガントに描き出しています。刺しゅうやフリンジ、フリルの装飾的なディテールが多彩。スペイン文化にオマージュをささげるかのように、情熱的な色彩、伝統への敬意がランウェイルックに注ぎ込まれました。 「ルイ・ヴィトン」はSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みや女性のエンパワーメントに熱心なことで知られています。 定評のあるリペア(修理)サービスはサステナビリティー(持続可能性)そのものといえるでしょう。製造・物流における再生可能エネルギー使用率を2025年までに100%に高める方針です(既に86%を達成済み)。 女性の活躍も進んでいます。LVMHグループで重要ポストに就く女性の数は2007年以降、23%から46%に上昇。エグゼクティブやマネージャーの65%は女性であり、18名もの女性がCEO(最高経営責任者)に就任しています。 ◇ ◇ ◇ 「おしゃれ達人」といわれる人々が服のコーディネート以上に上手なのは、自ら進んでドレスアップの機会をつくる「場のコーディネート」です。 観劇やディナー、各種会合など、シチュエーションはいろいろ。煌めきやつやめきをまとった装いは高揚感をもたらしてくれます。 そうした「自分起点」のイベントの他に、お呼ばれや各種会合が増えるホリデーシーズンは本気のファッションを楽しめる絶好のチャンス。「ルイ・ヴィトン」のクルーズコレクションをお手本に、自分らしい華やぎコーデ術を見つけてみてください。 文:宮田理江(ファッションジャーナリスト)
宮田理江
トレンド情報や着こなし解説、コレクションリポート、スタイリング指南をメディアや個人サイトで幅広く発信。異なるテイストのミックスコーディネートが得意。自らのテレビ通販ブランドを持つ。ディレクション業務、イベント登壇もこなす。毎日ファッション大賞選考委員。 ※この記事は「THE NIKKEI MAGAZINE」の記事を再構成して配信しています。