坂上忍、盛岡市の葉たばこ買い入れ現場で一喜一憂「自分は関係ないのにドキドキする」
防衛力強化の財源を確保するために、政府からたばこ税のうち加熱式たばこの税負担を紙巻きたばこと同じ水準に引き上げる方針が示された。たばこの原料である葉たばこは、乾燥工程を経て出荷および買い入れされるが、葉たばこの売買はどのように行われているのだろうか。愛煙家として自ら各地の葉たばこ農家を訪問し、収穫体験を行ってきた俳優の坂上忍が迫った。 ◆ ◆ ◆
岩手県盛岡市にある日本たばこ産業(JT)東日本原料本部。盛岡市が本格的な初雪に見舞われたある日、坂上は葉たばこが売買される現場に足を踏み入れた。葉たばこの買い入れは通常11月中旬頃から2~3カ月、今年はシステム変更の関係で1カ月の間に行う。この日は4つのレーンで岩手県の二戸、葛巻・九戸、岩手町、青森県の三戸の買い入れ作業が行われていた。 葉たばこの売買の特長は、JTとたばこ耕作組合で決定する「標本葉たばこ」に基づき、JTの鑑定員が葉たばこの品質を格付けすることだ。鑑定員は入社して1年目は先輩に習いながら葉たばこの見方を訓練し、2年目から練習として1~2件、3年目から本格的に格付けの現場を任される。今年は短期間で買い入れ作業を行うこともあり、全国の鑑定員が応援に駆けつけているという。 葉たばこは下位葉から中葉、合葉、本葉、上葉の順に収穫されて乾燥、熟成を経て梱包される。格付けした後の梱包はバーコードで管理され、品質を示す等級が明示されている。梱包を開けると、バーレー種の葉たばこから甘い香りが漂い、思わず鼻に近づけ「うわぁ、いいにおい」と深呼吸する坂上。
いよいよ、岩手町出身の府金秀一さん(50)の格付けに立ち会い。実際の鑑定ではJTの鑑定員2名が梱包が開いた状態の葉たばこを一包ずつ確認し、表面と小口と呼ばれる側面、さらに全体を見たイメージを合わせて格付けされる。たばこ耕作組合の代表者も立ち会い、意見を聞きながら全員で公平に判断しているという。それまでなごやかな雰囲気だった現場に、鑑定員の「では、よろしくお願いします」の挨拶で緊張が走る。 全体の数を「92包で間違いないですか?」と確認後、ブロック状の葉たばこを見て「1包目、中葉、A」というように一包およそ3~4秒程度で流れるように格付けしていく。鑑定員は葉の形や葉元の厚さなどからどの葉なのかが分かるといい、時々葉たばこを持ち上げて中を確認したり、内容成分を分析するためのサンプルを抜き出したりする。 坂上も固唾をのんで見守り「今のところ全部Aですね。鑑定員さんに褒められてる」、等級がBになると「あぁ……」とため息を漏らすひと幕も。収穫のタイミングが遅くなると、肥料が残って葉が硬い質感になったり色合いが悪くなったりするのだそうだ。滞りなく鑑定が終了すると、別室で今回の格付けに基づいた計算書が渡され、今年の葉たばこの売買が成立した。