名古屋グランパス、リーグ戦V争いと無縁のシーズン… またしても越えられなかった壁
◇栄光と課題・グランパス紆余曲折の1年(中) 後半43分、3バックの右で起用されたMF内田は、新潟のMF長谷川のミドルシュートを防ごうと、右足を伸ばした。しかし不運にも、足に当たったことで軌道が変わり、ボールはGKランゲラックの頭上を越える形に。ゴールネットを揺らされ、無得点での開幕3連敗となった。 ◆ルヴァン杯優勝Tシャツを着て笑顔の長谷川監督【写真】 立て直しと誤算から始まったシーズンだった。過去2年、DFラインの柱だった中谷と藤井が移籍し、丸山も契約満了。けがで13試合出場にとどまっていた河面こそ残ったが、3バックは事実上総取っ替えになった。 さらに、FWユンカーと2トップを組むはずだったFW山岸は春季キャンプ中に負傷離脱。2人を生かすために敷いた1ボランチの布陣は機能不全に陥った。長谷川監督が後日「もうちょっと早く見切ってもよかった」と悔いた通り、昨季と同じ2ボランチ、3トップに切り替えた第4節柏戦(三協F柏)で、ようやく今季初白星を挙げた。 しかし、成績は安定しなかった。「アキ(河面)がいる時といない時では全く勝率が変わってくる」と7月にこぼした通り、河面が先発すると13勝3分8敗だったが、欠場、途中出場だと2勝2分10敗。3バック唯一の左利きの河面をけがで欠くと、左サイドの攻防に苦戦、結果に直結した。 攻撃でも課題が残った。山岸、ユンカーの負傷離脱に悩まされたとはいえ、崩れたプランは最後まで修正できなかった。6番目に少ない44得点で、就任当初掲げた50得点の壁はまたも越えられず。23年に2桁得点を記録したユンカー、山岸、パトリックはそれぞれ4、2、5得点。センターフォワードではないMF稲垣、FW永井の6得点がチーム最多だった。 開幕戦でミスから失点に絡んだDF三国の成長にかけ、実際に守備の柱に育て上げた。失点も8番目の少なさ。事実上、残留争いに巻き込まれなかったのは、手腕といえる。しかし、シーズン当初掲げた目標は優勝だ。ルヴァン杯制覇は成し遂げたがリーグ戦は一度も優勝争いをすることなく11位。見る側の切り取り方で、評価が大きく分かれる1年となった。(林修史)
中日スポーツ