米国債相場、24年の損失解消まであと一歩-利下げ観測広がる
(ブルームバーグ): 米国債相場は年前半にジェットコースターのような値動きとなる中で損益ゼロまであと一歩に迫っている。
米国債のリターンを示すブルームバーグの指標は、4月に一時、年初来マイナス3.4%に低迷した後、同0.1%に持ち直している。回復の主因は、米国の物価の落ち着きで米連邦準備制度が早期の利下げを納得し当局が示唆したより大幅な金融緩和に動けば、米国債利回りの上昇に事実上歯止めをかけるという投資家の見立てだ。
GSFMの投資ストラテジスト、スティーブン・ミラー氏(シドニー在勤)は、「利回りのピークは過ぎた。債券はいまや、マルチアセット・ポートフォリオので相応の地位に戻っている」と指摘した。
米国債相場は今年に入り、上下に激しく変動。米国の高めの金利が長期化するとの懸念で投資家が国債を処分したことから、金融政策に敏感な2年国債利回りは4月に5%を超える水準に達した。その後、インフレ率と小売売上高のデータから、米経済がようやく利下げを正当化できるほど落ち着いた可能性が示唆されたため、利回りは4.70%前後に低下している。
トレーダーは米金融当局が年内に0.25ポイント利下げを2回実施すると見ており、スワップ市場では最初の利下げが11月になると完全に織り込まれている。18日に多くの米金融当局者が、利下げを行う前に物価が緩和していることを示す証拠がもっと必要だと述べたにもかかわらずだ。
利下げ前にインフレ沈静の証拠さらに必要-FRB当局者が相次ぎ強調
メイバンク・アセット・マネジメントの地域債券部門共同責任者ラチャナ・メータ氏は、米10年国債利回りについて4.2-4.5%程度の広い幅を予想し、レンジ上限に向けた動きは買いの好機だと指摘。「過去に見られたボラティリティーが最近の米国のデータを受けて収束したと期待したい」と語った。
米国債市場のボラティリティーが低下している背景には、年内の利下げ回数予想を巡り米金融当局と投資家の見解がまとまり始めていることがある。米国債の予想変動率を追跡するICE・BofA・MOVE指数は98前後と、4月につけた121から低下している。