戦略的にトレードで利益を上げたいなら…10回のトレードで「2勝2敗6分」を理想にするのが望ましいワケ【YouTubeで人気のプロトレーダーが解説】
FXトレーダーにとって、メンタルは非常に重要です。しかし、メンタルを鍛えるためと言ってリスク管理を怠ることは悪手といえるでしょう。メンタルを揺さぶられたときに、次のトレードに向けてできるケアはあるでしょうか。FXトレーダーであるHiro氏の著書「FX 環境認識の定石」(日本実業出版社)より、トレーダーのメンタルケアの方法について詳しく見ていきましょう。
鍛えられない“メンタル”…気分の上手な扱い方とは
トレーダーにとってメンタルの重要性は認識されていますが、意図的なメンタルの鍛え方には疑問があります。メンタルに対する適切なアプローチは、どうメンタルと向き合うかにあると考えます。 メンタルと「どうつき合っていくか」という考え方 「トレードをやっていくにはメンタルが大事」 こうした言葉を聞いたことがある方、実際にそう感じている方も多いと思います。私自身もメンタルの重要性を強く感じています。 トレードは、普段扱わないような金額を相場のリスクに晒しますし、どんなにがんばっても普通に負けることもある世界です。メンタルを揺さぶられないほうが無理という話でしょう。 そこで次の発想として、「じゃあメンタルを鍛えよう。特にトレードに必要なメンタルはリアルトレードで鍛えるしかない」、このように考える人が多いと思います。しかし、はっきり言ってこれは悪手です。 断言しますが、意図的にメンタルを鍛えることは不可能です。今までの人生を思い返してみてもらいたいのですが、さまざまな経験を通して「結果的に」メンタルが強くなった、人間として成長したといったことは経験があるかと思います。 ですが、意図的にメンタルを鍛えようとしてうまくいったことはあるでしょうか? 中にはうまくいったという方もいるかもしれませんが、それは圧倒的に少数派なはずです。 もちろん、トレードをしていく中で「慣れ」は存在しますが、これは「メンタル」とは完全に別物です。そもそも人間のさまざまな感情の起伏を「メンタル」という抽象的な言葉でまとめようとすることに無理がある気もします。 仮にメンタルを意図的に鍛えることができたとしても、メンタルはそのときどきの体調や人間関係、出来事、天候などでも簡単に浮き沈みするものです。そうであればメンタルを鍛えようとするのではなく、「メンタルとどうつき合っていくか」を考えるほうが現実的ではないでしょうか。これは心理学などの専門知識を学んでいても感じることです。 事前と事後の対策 メンタル対策のポイントは、メンタルが揺さぶられないようにするための「事前の対策」と、揺さぶられてしまったときにどうするかという「事後の対処法」を準備しておくことです。 例えば、必ず余裕資金でトレードする、膨大な検証を通して確率で考えられるようにしておく、トレードシナリオを作成して想定外を排除する、といったことが事前の対策として有効です。 メンタルが揺さぶられた際には、トレードノートを活用してそのときの心情を吐き出してみてください。きっと自分を客観視できるようになると思います。 ここまで解説してきたことは、トレードで勝てるようになるための直接的なものだけでなく、メンタル安定のためにも実は効果的なものばかりです。他にも、メンタルが不安定なときというのは、食事・睡眠・運動のどれかに問題を抱えていることも多く、トレード以前に健康な生活を送るためにも、こうした知識を学ぶことは大切です。 毎日忙しくて疲労が溜まっているのなら、ときにはゆっくり休んでください。その余裕すらないのであれば、環境を変えることについても真剣に考えるタイミングなのかもしれません。 リアルトレードでメンタルを鍛えようとする前にできることはたくさんあります。気合と根性でがんばるのはインプット学習や検証作業の部分のみ。実際のトレードにはもっと科学的・現実的なアプローチで臨んでいきましょう。