上昇が続くビットコインは「バブル」といえるのか…暗号資産推進派のトランプ勝利で高騰続く
⑤地政学リスクの高まり 2024年はまさに第三次世界大戦の前哨戦ではないかと思われるような、地政学リスクの高まりがあった。ロシア・ウクライナ戦争をはじめとして、イスラエルや中東諸国では熾烈な戦火を交えている。中国も東アジアでの海洋進出を着々と進めている。地政学リスクの高まりで、いざと言う時に役立つ資産としてビットコインなどの暗号資産が注目されてきている。 トランプ次期大統領が準備しているかもしれないと言われているビットコインを外貨準備に組み入れるプランも、あながち笑い話では済まない状況が進んでいるわけだ。
■ビットコインの価格形成に影響を与える4つの要因 ところで、こんな状況でビットコインは今後どうなるのだろうか……。そもそもビットコインはどんな要因で価格が形成されるのか。ビットコインの価格が動くメカニズムを考えると、次のような要素が考えられる。 1.需給のバランス トランプ氏が大統領選挙で優位に立つにつれてビットコインの価格は上昇し、この数カ月で価格は上昇を続け、市場から大量のビットコインが移動していると報道されている。
ビットコインは、あらかじめ供給量を2100万枚に制限されているために、投資家が将来の価格上昇を期待すれば、投資家はビットコインを抱えて離さなくなり、その価格は上昇することになる。現在のビットコインの時価総額300兆円のうち、約7割程度を個人投資家が保有している。個人投資家が一斉に利益確定で売却すれば、価格は暴落することになる。 2.規制緩和の状況 ビットコインの取引を制限した中国のように、国によってはビットコインの売買を禁止するところもある。こうした規制緩和の状況によっても、その価格は大きく変化する。トランプ氏が大統領に就任する時点で、少なくともアメリカでは大きく規制緩和されるのではないかと期待されている。
アメリカの報道によれば、トランプ政権チームは、銀行規制を担当する主要政府機関の大幅な縮小や統廃合を検討しているそうだ。たとえば、「連邦預金保険公社(FDIC)」の廃止の可能性まで検討しているそうだから、実現すればビットコインなどの暗号資産も大きな規制緩和の波がおこるかもしれない(ウォールストリートジャーナル「トランプ氏の側近ら、銀行規制当局の縮小・廃止を模索」2024年12月13日)。 銀行の預金保険制度が万一崩壊するようなことになれば、マネーは銀行から流出し、株や債券、暗号資産や金などに流出することは避けられない。