メイド喫茶の広告を期末テストに出題!世田谷学園のスゴいジェンダー教育…「道徳を押し付けない」独自科目の中身
■ メイド喫茶の広告を期末テストに出す 「フェミニズム」「アファーマティブ・アクション」「ポリティカル・コレクトネス」「悪意のない差別」「セクシュアリティ」「ホモソーシャル」「ミソジニー」「ホモフォビア」などの用語もしっかり扱う。 過去の期末試験では、イラストつきで問題用紙に掲載された架空のメイド喫茶の広告について、「ポリティカル・コレクトネスの観点から見た問題を複数指摘し、適切な表現に直したポスターの図案を示しなさい」という問題が出された。 2年がかりでテキストを制作した社会科教員の大西将樹さんは、「道徳の押しつけにならないようにするのがこの授業の重要なポイントです」と強調する。 たとえば女性専用車両については、「逆差別だ」という意見も出る。その意見もいきなりは否定しないで逆差別であると思う理由を述べさせ、それが本当に論理的か、あるいは前提を間違えていないか、みんなで議論して、検証して、腑に落としていく。 そのプロセスを経ずに女性専用車両に反対することは社会悪だと教え込まれても、別の場面で正しい判断ができない可能性があるだけでなく、女性へのアファーマティブ・アクションに対してある種の恨みのような感情をくすぶらせる可能性があるからだ。 大人が考える「正解」を教え込んだり覚えさせたりするのが授業の目的ではない。社会的には「間違い」とされる発言もどんどん引き出し、吐き出させたたうえで、みんなで議論し、自分の頭で判断できるようになることを目的としているのだ。 ■著者 おおたとしまさ(教育ジャーナリスト) 「子どもが“パパ~!”っていつでも抱きついてくれる期間なんてほんの数年。今、子どもと一緒にいられなかったら一生後悔する」と株式会社リクルートを脱サラ。育児・教育・夫婦のパートナーシップなどについて、執筆・講演を行う傍ら、新聞・雑誌へのコメント掲載、メディア出演にも対応している。著書は『ルポ塾歴社会』『ルポ名門校』『ルポ教育虐待』『ルポ父親たちの葛藤』『勇者たちの中学受験』など80冊以上。
おおたとしまさ