先発、救援で防御率0点台…巨人で来季の起用法が注目の「大型左腕」は
遅咲きで200勝のレジェンド左腕
横川もドラフト4位で巨人に入団後、育成契約を経験するなど順風満帆ではなかったが、はい上がってきた。投球スタイル、アマチュア時代からの歩みが重なる大投手が、中日一筋で日本記録の実働29年間プレーした山本昌だ。日大藤沢高からドラフト5位で入団すると、戦力外の危機を迎えたがアメリカへの野球留学を転機に素質を開花させる。プロ5年目の88年に帰国すると、8試合登板で5勝0敗、防御率0.55でリーグ優勝に貢献。186センチの長身から投げ込む直球は140キロ台前半と決して速くないがキレがあり、スライダー、スクリュー、カーブを組み合わせてアウトの山を重ねる。翌89年以降は先発ローテーションに定着し、通算219勝をマーク。41歳でノーヒットノーランを達成し、42歳で史上最年長の200勝に到達した。 山本昌は週刊ベースボールのインタビューで、アメリカ留学をこう振り返っている。 「言葉は悪いですけど、当時は日本でいらない選手に、ドジャースと付き合いがあるから行ってこい的な感じ。せっかく5年目の契約をしてもらえたのに、留学を言い渡されたときはショックでした。自分がどういう立場なのか理解していましたし、周りも留学に行って終わりだろうと思っていたはずです。正直、やる気を失いました。日本にいてもクビの可能性があるのに、何をアピールすればいいんだ? と。ただ、一生懸命に野球を教えてくれるアイク生原さん(※ドジャースオーナー補佐兼国際担当で山本を指導)との出会いで頑張ろうと。スクリューボールを覚えたことも大きかったです。野手がキャッチボールで投げているのを見て、『これは』と気付いて投げ方を聞いたんです。どこにキッカケが転がっているか、分からないですね」 横川も今年の活躍をきっかけに、大きく飛躍できるか。野球人生のターニングポイントを逃してはいけない。 写真=BBM
週刊ベースボール