俳優・関貴昭さん逝去 死因の「食道がん」の初期症状・原因・なりやすい人の特徴を医師が解説
俳優の関貴昭さん(54)が「食道がん」のため、4月15日に亡くなっていたことを所属事務所が自社サイトに発表しました。同サイトによると、「かねてより病気療養中だった」そうです。 男性の罹患率が高い食道がんは初期症状がほとんどないという特徴があり、早期発見・早期治療がとても重要です。食道がんは、飲酒している男性が特に発症しやすく、死亡率は男女ともに減少傾向ですが、男性の方が多いです。本記事では、食道がんについて病態・症状・治療法などについて解説します。「自分は大丈夫」と思わず、食道がんの発症リスクを下げるためにも、ぜひ参考にしてください。 ※この記事はMedical DOCにて【「食道がん」を疑う初期症状・原因・発症しやすい人の特徴はご存知ですか?】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
食道がんとは?
Q.食道がんとはどんな病気ですか? A.食道は咽頭と胃をつなぐ管状の臓器で、口から食べたものを胃へ運ぶ役割をしています。この食道にがんが発症したものが食道がんです。 食道がんは食道のどこにでも発症しますが、日本人の約半数の人は食道中央付近に発生しやすく、その次に食道下部に多くみられます。食道の内面を覆っている粘膜にがんは発生し、複数発症することもあります。 食道は体の中心部に位置し、気管・心臓・肺・大動脈などの臓器に囲まれている大切な臓器です。食道がんが進行してしまうとほかの臓器に浸潤・転移するリスクが高くなります。 食道がんが食道の壁の粘膜に留まっている状態を早期食道がん、粘膜下層で留まっているのが表在食道がん、それよりも深く進行しているものを進行食道がんと呼んでいます。 Q.食道がんにみられる症状を教えて下さい。 A.代表的な症状は胸がしみるような感覚・喉がつかえるような感覚・体重減少・胸部痛・背部痛・嗄声などが挙げられます。この中でも初期に感じやすいのは胸がしみるような感覚で、食物を飲み込んだ時に胸がチクチクするような感覚がある人もいます。このような症状を感じた場合は食道がんの可能性があるので、早めに医療機関へ受診し内視鏡検査を受けてください。胸がしみるような感覚はがんがある程度進行すると感じなくなるので、体のサインを見逃さないようにしましょう。 ほかの症状はある程度がんが大きくなると、自覚しやすい症状です。がんがある程度大きくなると食物の通りが悪くなってつかえる感覚があったり、その影響で食事量が減って体重減少が出たりします。体重が3ヶ月の間に5~6kg減ったら危険です。 嗄声とはかすれ声のことをいいますが、食道のすぐ横に声を調節する神経があり、神経ががんで圧迫されることによって嗄声が出ます。嗄声を自覚し、耳鼻科へ受診しても腫瘍や病変がないため経過観察で終わってしまう場合が多いです。 食道がんは初期の自覚症状がほぼなく、既に出ている症状も見落としがちなので、少しでも当てはまる症状があったら早めにCT検査や内視鏡検査を受けることで早期発見につながります。 Q.食道がんは何が原因で発症するのでしょうか? A.食道がんを発症する原因は1つではありません。原因となる大きな要因は喫煙と大量の飲酒です。日本では食道がんの90%以上が扁平上皮がんですが、米国では腺癌が増加傾向にあり、日本でも今後増えることが予想されています。 この腺癌とは、胃の近くにある食道下部に発症するがんです。扁平上皮がんは特に喫煙と飲酒が相乗作用してリスクが高まるとの指摘があります。腺癌は胃液などが食道へ逆流する胃・食道逆流症や肥満が、発症のリスクを上げる原因となります。