【#佐藤優のシン世界地図探索91】"トランプ王"誕生の余波が韓国から北朝鮮、そして日本に...
佐藤 見限ったというか、尹大統領が怯(ひる)んだことが要因でしょう。「国会議員を捕まえて皆殺しにしろ」と命令して30人ほど殺していれば、軍も秘密警察も完全に付いてきたはずです。 ――「皆殺しにしろ!!」と言えずにブルってしまったと。 佐藤 伝家の宝刀を抜いたけど、根性無しだったんですよ。血が流れることを恐れるクーデターなどあり得ませんからね。 ――確かに。 佐藤 あのクーデターでは戒厳令を発令した次の段階で、「責任を取らされるのが嫌だから」と検察と警察が内乱罪で捜査開始しました。すると、今度は軍が「俺たちが先にやられるんじゃないか?」と猜疑心に囚われたのです。そして、最初は「事情聴取をされたくない」と言っていた国防大臣が、それを見て警察に飛び込んで行きました ――トップが潔く責任を取るとは、素晴らしいではないですか。 佐藤 そんな殊勝な行動ではありません。シャバにいると殺されるからですよ。殺された後で「こいつが全部やったんだ」と罪をかぶせられるおそれがあるから動いただけです。 ――でも、国防大臣は拘置所で自殺未遂してますよ。やはり責任感が強いのでは? 佐藤 拘置所なんかで普通、自殺未遂なんてできると思いますか? ――拘置所の中の事情に関しては、佐藤さんの方が断然お詳しいですから......。 佐藤 自殺未遂ではなくて、誰かに吊るされた可能性があると私は見ています。 ――なんと!! 佐藤 徹底的に抗って、殺されずに済んで、ようやく命を取り留めたということです。拘置所の中は一番安全だと思ったら、そこも安全じゃないって話ですよ。 ――内戦中のシリアより怖いであります。 ミリタリーマニアの自分としては、東アジア最強と言われる韓国軍特殊部隊の実力の一端が垣間見られるかもと思っていました。しかし、韓国国会に突入した特殊部隊を見て、あれだけやる気のない顔をした特殊部隊は初めて見ました。 佐藤 でも、それは危ない兆候です。なぜなら「しょうがないからサボる」というのは、逆に命令がなくても一生懸命やる事もできるわけですから。 本来は命令があったら一生懸命やらなければなりません。軍人が「しょうがなく」とか、あるいは「弾倉を携帯しない」という判断をしてはいけないんです。命令に背いて、逆の判断をしてしまう恐れがあるということを意味しているんです。 ――すると韓国、ヤバいじゃないですか!