旧車スーパーカブ☆キャブのネジ山がナメてしまった時の恒久的修理法
旧車いじりに限ったことではないが、傷んでしまったネジ山にとどめを刺して、完全な「山なしネジ穴」にしてしまった経験があるサンデーメカニックは数多いはず。ここでは、数多くのベテランプロメカニックにも愛用者が多い「リコイル」の使い方を、ネジ山が無くなってしまったキャブボディで実践してみよう。 【画像】ネジ山を再生する「リコイル」の使い方をギャラリーで見る(8枚) 文/Webikeプラス たぐちかつみ
繰り返しの脱着でネジ山が弱くなるのは当たり前
ボディ本体が固定フランジになっていて、M6サイズのボルト2本で締め付ける仕様が多いスーパーカブシリーズのキャブレター。この年代はもちろん、1980年代初頭でも、アルミダイキャストボディに直接ネジ山が立てられている。1980年代の途中から、フローティング固定されたスチール製角ナットをM6ボルトで固定するタイプへと変更対策されている。このネジ穴は完全にナメてしまっている!!
キャブは取り外す前にガソリンをストップさせよう
キャブレター分解時には燃料コックをOFFにしてガソリンの流れをシャットアウトしてからキャブ本体を取り外すが、スーパーカブは燃料コックがキャブ本体にあるので、ガソリンを遮断するのが実は大変。そんなときには、クランプ式のストッパーがあると実に便利。この工具は、ブレーキフルードなどの硬いホースを潰して遮断できる。ガソリンホースなら楽々使うことができる。
リコイルキットは圧倒的な使い易さで大人気
M6P1.00サイズのネジ山を再生するリコイルキット。リコイルには様々な組み合わせがあり、下穴加工用のキリ(ドリル)が同梱された商品もある。ナメてしまったネジ穴をドリルでもんで、ワンサイズ大きなネジを立て直し、その新たなネジに「リコイルを挿入」することで、従来通りのM6ボルトを使えるようにするのがこの修理手順。ネジ穴の恒久再生では、安定した信頼性を誇る商品なのだ。
リコイル挿入場所の厚さや深さを理解しよう
キャブボディが変形しないように、万力にやさしくクランプして作業した。ボディ内には各種通路があるため、マスキングテープで切り粉が入らないように封じた。下穴加工キリ(M6だとΦ6.3mm)を使って、電動ドリルで下穴を拡大したら、リコイルタップが斜めに入らないようにネジ山をゆっくり切り直す。貫通穴へのリコイル挿入は、お気楽作業とも言える。押し付け過ぎないようにリコイルをゆっくり挿入し、リーダーのタン部分が最適の位置に来ていることを確認しよう。タンが最適な位置に来たのを確認できたら、挿入側に入り込んでいない残りのリコイル巻き数をチェックしよう。これはフランジの厚さにネジ山を合わせる段取りだ。さらにタンを回して反対側からリコイルを抜き取ったら、リコイルエンドが下ネジ山に対して半回転程度入る位置でリコイルをカットする。同じリコイルを2個作って、この後に仕上げ挿入を行った。