大卒は高卒よりも「生涯賃金が高い」って本当?最終学歴別の生涯賃金を解説
「最終学歴が大学卒業の人は、高校卒業の人よりも生涯賃金が高い」という話を耳にしたことがある人もいるでしょう。なかには、子どもの進路に対して「収入に差が出るから、大学へ行った方がよい」と話したことのある人もいるかもしれません。 しかし、学歴で生涯賃金に影響が出るというのは事実なのでしょうか? そこで今回は、最終学歴別の生涯賃金をさまざまな視点から比較し、本当に「大学卒業の人の方が生涯賃金が高いのか」を検証します。 ▼会社員で「年収1000万円」以上の割合は? 大企業ほど高年収を目指せる?
最終学歴別の生涯賃金を比較
最終学歴の違いで生涯賃金にいくらぐらい差が出るのか、実際の数字で比較してみましょう。 表1は、独立行政法人労働政策研究・研修機構の発表している「ユースフル労働統計2023」を基に、男女別に生涯賃金をまとめたものです。なおこの数字は、同一企業とは限らないものの60歳定年までフルタイムの正社員で働いて退職金を受け取ったのち、平均引退年齢(男性72.0 歳、女性69.2歳)まで働いた場合の賃金となります。 表1
※独立行政法人労働政策研究・研修機構「2023年ユースフル労働統計」を基に筆者作成 男性の高校卒業と大学卒業の差を計算すると6000万円、女性は6460万円となります。男女ともに学歴の差によって6000万円の差がありました。
最終学歴が大学卒業の生涯賃金が一番高いわけではない
確かに最終学歴が高校卒業と大学卒業の人とでは、生涯賃金に6000万円の差があります。しかし、必ずしも最終学歴が大学卒業の生涯賃金が一番高いということではありません。その結果を表すものが次の表2です。 表2は、独立行政法人労働政策研究・研修機構の発表している「ユースフル労働統計2023」の最終学歴だけでなく、企業規模も加味した生涯賃金の一覧となります。 表2
※独立行政法人労働政策研究・研修機構「2023年ユースフル労働統計」を基に筆者作成 表2からは、次のことが分かります。 ・同じ学歴でも勤務する企業規模によって生涯賃金に5000万円~1億円の差が生まれる ・企業規模1000人以上の会社に勤める高校卒業の人は、小規模の企業に勤める大学卒業の人より生涯賃金が高い 最終学歴が生涯賃金に影響を与えているのはもちろんですが、勤務する企業規模も大きく関係しているようです。