【速報】35歳の養父に「逆転無罪」判決 2歳女児への傷害致死罪 『虐待=外因か、病気=内因か』医学的論争の末の判決は全面無罪 大阪高裁
頭蓋内の出血や脳の損傷を生じさせたのは、虐待=外因か、それとも病気=内因か。2歳女児の死亡をめぐり、激しい医学論争が展開された裁判で、大阪高裁(石川恭司裁判長)は11月28日、傷害致死罪などに問われていた養父に「全面無罪」判決を言い渡しました。 【画像を見る】瞬間、裁判所前は沸いた 異例の保釈 35歳男性の裁判を振り返る きょう、裁判所前には開廷前から支援者らが集まり、逆転無罪の旗が出ると、歓声が巻き起こったり、涙を見せる人の姿もありました。 ■2歳女児の容態が急変 一度は心拍再開も1週間後に死亡 2017年12月、大阪府東淀川区の住宅で、今西希愛ちゃん(当時2歳3か月)の容態が急変し心肺が停止。都島区の病院に運ばれ、一度は心拍を再開したものの、1週間後に死亡しました。 解剖を担当した医師の所見では、希愛ちゃんの死因は「頭蓋内損傷」。頭部の表面に明確な外傷はありませんでしたが、頭蓋内の広い範囲で硬膜下血腫やクモ膜下血腫が確認されたほか、脳幹の融解なども確認されました。 この死亡をめぐり、大阪府警は、容態急変時に希愛ちゃんと2人きりでいた、養父の今西貴大被告(35)が何らかの暴行を加えたとみて逮捕。大阪地検は傷害致死罪などで今西被告を起訴しました。 ■心停止は「外因」か「内因」か 今西被告は一貫して無実を訴え、裁判では希愛ちゃんの心肺停止が「外因」か「内因」かという、医学的な論争が展開されました。 検察側は、強い外力(暴行)によって、呼吸機能をつかさどる脳幹が損傷し、心肺停止に至ったとする「外因」説を展開しました。 一方で弁護側は、まず重い心筋炎によって心肺停止が起き、低酸素状態になった↓低酸素状態によって脆くなっていた血管に、搬送先での心拍再開によって再び一気に血液が流れた↓血管が破れ出血が生じた(再灌流障害)という「内因」説を主張しました。つまり、頭蓋内の出血より、心肺停止のほうが先だったという主張です。 1審の大阪地裁(渡部市郎裁判長)は検察側の主張を支持。2021年3月、今西被告に懲役12年の有罪判決を言い渡しました。今西被告側は判決を不服として即日控訴しました。 ■今年7月には異例の保釈 控訴審でも心肺停止が「外因」か「内因」をめぐり、引き続き医学論争が展開され、弁護側は、新たに病理医の意見書を提出し、検察側が主張する脳幹の損傷自体が存在しなかったなどと主張していました。 今年7月には、大阪高裁は今西被告の保釈を決定。今西被告は5年5か月に及ぶ拘置所での勾留から解放されました。無罪主張をしている被告が、控訴審で保釈されるのは極めて異例のことでした。
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