先代は「猛牛」だったのに悲しいかな琴桜はまだ「子牛」 安易な投げに逃げて大の里に黒星…元大関・琴風の目
◆大相撲 ▽夏場所6日目(17日、東京・両国国技館) 新小結・大の里が大関・琴桜に寄り切りで完勝し、1敗を守った。場所前に志願の出稽古を敢行した成果を生かし、過去2戦2敗の難敵を撃破。初賜杯への“第一関門”を突破した。西前頭4枚目・宇良が、元大関で西同7枚目・御嶽海との全勝対決を上手出し投げで制し、単独トップに立った。1敗で大の里、平幕の大栄翔、御嶽海ら7人が追う。カド番の大関・霧島は早くも5敗目となった。 * * * 琴桜の敗因は左上手を取った後の投げにある。なぜ前に圧力をかけないで投げたのか。投げで勝負を決めようと思わないで、大の里の体勢を崩して頭を付ける選択肢もあったはずだ。 今場所、特に目に付く腰高の立ち合いが最後まで影響したような気がする。左上手を取ったものの棒立ち状態で前に圧力をかけることができなかった。右半身になった大の里の、左のおっつけからの圧力も予想以上に強かったのか。安易な投げに逃げてしまった敗因を分析すると2つの可能性が考えられる。 大の里という“爆走列車”を止めるのは琴桜だと期待していただけに、私もこの敗戦にはショックを受けている。しこ名を譲った先代は激しい突進から「猛牛」というニックネームで呼ばれた。悲しいかな琴桜はまだ「子牛」である。 大の里にとっては波に乗れる白星になったといえる。残る難敵は豊昇龍、大栄翔あたりかもしれないが、単なる通過点に過ぎない可能性もある。これで最後まで優勝争いの中心にいることは間違いないだろう。(元大関・琴風、スポーツ報知評論家)
報知新聞社