ボクシング アマ8冠の堤麗斗、全日本選手権初優勝へ圧勝発進 世界挑戦者決定戦控える兄・駿斗に「良いバトンを渡したい」
ボクシングの全日本選手権第3日が28日、東京・墨田区のひがしんアリーナで行われた。アマチュア8冠の堤麗斗(22)=東洋大4年=が、初戦の男子ライト級準々決勝で、武山十吏睦(とりむ、駒大)に5-0の判定勝ち。30日に同会場で行われる篠田立輝(中大)との準決勝に進出した。 今大会の目玉選手、堤が全日本選手権での初めての試合で圧勝。それでも浮かれることはなく、反省点を口にした。 「『良い内容で勝たないと』とちょっと力み過ぎた。この先のことを考えたら、やっぱりまだこんな内容では満足できないです」 サウスポーの堤は1回からプレスをかけて左ストレートなどを当て続けた。2回には左フックでスタンディングダウンを奪い、最終3回は武山を圧倒。ジャッジは30-25、30-25、30-24、30-24、30-27と5人全員がフルマークだった。堤は勝ち名乗りを受けても笑顔を見せず、淡々とリングを下りた。 兄はアマチュア13冠で、WBA世界スーパーフェザー級8位の堤駿斗(はやと、25)=志成。麗斗は極真空手からボクシングに転向した小学5年時から、兄以上の逸材と期待されてきた。千葉・習志野高時代に高校5冠を達成し、東洋大1年だった2021年4月に世界ユース選手権の男子ライト級で優勝。習志野高時代の16年に男子フライ級を制した駿斗以来、2人目の快挙だった。 今夏のパリ五輪での金メダル獲得を目指していたが、22年4月にプロ転向した兄の活躍を見て、プロへの思いを強くした。アマチュアボクシングへのモチベーションの低下により、昨年2月のパリ五輪予選を兼ねるアジア大会の男子フェザー級代表決定戦を欠場。初出場だった昨年11月の全日本選手権では、初戦の当日計量で体重超過により不戦敗となった。 今大会がアマチュアボクシングの集大成となる。「大学ラストの試合になるんで、悔いのない最後の2試合にしたい。納得のいく終わり方をしたい」。大学1年時から志成ジムでも練習しており、来春の東洋大卒業後には志成ジムからのプロ転向が決定的だ。 駿斗は元WBA世界スーパーフェザー級王者で、現同級14位のレネ・アルバラード(35)=ニカラグア=とのWBA世界同級挑戦者決定戦(12月31日、東京・大田区総合体育館)を控えている。「少しでも兄貴に良い意味でのプレッシャーを与えられるような内容で勝って、良いバトンを渡したい」。不戦敗を除くと、アマチュア戦績は約60戦で1敗のみ。スーパーホープは有終の美を飾るため、初の日本一をつかみにいく。(尾﨑陽介)