ALSと共に生きる 絆深める夫婦 闘病の4年間
髙橋 利裕 さん: 「緩い坂道を歩いていると『しんどい』と言いだしてすごく違和感を感じる(ように)、でも病気だということは全く分からず1年過ごしてました」 体の不調は続くも原因がわからず、県内外の病院を訪ね歩いた利子さん。2020年10月、「ALS」と診断されました。
診断から、わずか半年後。利子さんは、呼吸機能が低下し手術で人工呼吸器をつける選択を迫られました。気管を切開するため、自分の声は二度と戻りません。 髙橋 利裕 さん: 「気切(=気管切開)する時の決断する時ってあるんですけど、その時に『死にたい』って言ってたんです。『子どもも小さいので絶対に生かす。延命治療するぞ』という風に強く僕から言っていたので」 病気に立ち向かう勇気を与えたのは、当時、小学校へ入学したばかりの長男・利久くんの存在でした。
利子さんの生活を支えるのは8人の介護ヘルパーです。1日を3人で交代しながら24時間体制で身の回りをケアします。 髙橋 利裕 さん: 「家族が本当に休む時間がないので。最初の頃って。今、充実しているので毎日仕事に行かせていただいています。すごく貴重な時間だと思っています」 こうしたヘルパーたちの支えによって利子さんは、週に1回程度、家族とともに外に出かけることができています。
この日、利子さんたちが向かったのは金沢市にある県立図書館。ALSをテーマとしたドキュメンタリー映画の上映会です。県外での上演を知った利裕さんの働きかけで実現し、会場には100人以上の観客が集まりました。
髙橋 利裕 さん: 「私の妻、髙橋利子ですけどもALS闘病中です。皆様が生きるということを改めて考えていただく機会になればと願っています」 会場では、利子さんと同じ病と闘う患者も思いを語りました。 ALSと診断された畠中 一郎 さん: 「とにかく何か目標を立て、それに向かってまっしぐらに努力をする。それも残された自分の人生の目標にする」 髙橋 利裕 さん: 「(ALS患者も)生活できるんですよというのを皆さんに知ってほしいと思います。この病気で諦めて死にたいと思うのではなくて、生きたいと思うようになってほしい」