維新はもはや「権力側」の党になってしまった…総選挙で国民民主に敗北した「ブレ」「ズレ」「パラドックス」の深層
「息苦しい党になった」
先日、ある維新の議員からこんな話を聞いた。 「ちかごろ街頭に立っていると、地元の有権者から『最近の維新は日本共産党みたいに息苦しい政党になったように見えて好きになれない』と言われるようになってつらい」 その有権者の言葉は辛辣だが、単なる悪口というわけではないだろう。むしろ結構当たっているように感じる。というのも、東京側の維新が社会保障問題という今後の宣伝文句となりうる「独自色」を掲げるようになって、なおのこと大阪側との問題意識の温度差や、東京側の発言力の小ささが浮き彫りになってしまったからだ。「大阪側の幹部の権限が強すぎて東京の人たちはなにも言えない、意見も採用してもらえない、とても風通しの悪い党」というイメージを持たれてしまうようになった。 そうなると、ますます国民民主党の「風通しの良さ」が相対的に際立つようになる。「同じような政策を掲げているなら(幹部と現場の歩調がそろっていて、なおかつリーダーが土壇場でひっくり返したりしなさそうな)国民民主党でいいや」という比較優位が生じる。 有権者とはそれほど愚かではない。自分の応援している政党がどういう雰囲気、党風を持っているのか、直感的に見抜いてくるものだ。
維新を苦しめる「パラドックス」
維新がここにきて急に「凪(もしくは逆風)」にぶつかってしまったことについて、万博問題とか斎藤元彦とか足立康史とか色々と原因を挙げたくなるのはわかるが、それらは影響ゼロとまでは言えずとも核心ではない。 「野党のはずなのに与党っぽい立ち回りをする人が中枢にいて、上と下・東と西で熱量や歩調が合わない」というパラドックスがあるせいだ。 このパラドックスは、とりわけ社会保障問題という国政維新の見つけ出した鉱脈ときわめて相性が悪い。大阪と東京の利害調整が難しく、肝心なところで「一枚岩」になれないからだ。かたや国民民主党は「一枚岩」になれる。小規模政党であることの強みが活きる。 逆にいえば、今後の維新の復権は東西の温度差をいかになくしていくかにかかっている。東京側だけの問題意識が先行し、大阪側の連携や情報共有が甘くて共同歩調が取れないようでは、有権者から見ると「この人たち、本気で社会保障改革したいと思っているのかな……?」「東京(国政維新)が勝手に言っているだけなのかな……?」と不安になってしまう。 いずれにしても、少なくとも今回の衆院選においては、維新がコツコツ育ててきた現役世代向けの最大の訴求ポイントである「社会保障問題」という果実を、国民民主党(玉木雄一郎代表)にもぎ取られてしまう屈辱的な形になったことは否定しようもない現実だ。 しかしだからといって、絶望する必要はない。維新はこれからの時代に必ず必要とされる政党で、いま逆風が吹いていたとしても、必ずそれは止むからだ。高齢化と人手不足が加速するこれからの日本社会において、現役世代のことをだれよりも考えてきた政党として維新には再びスポットが当たる。 ただしそのスポットが当たったときには、今回の選挙で露呈しているいくつもの問題点やボトルネックを必ず解消していなければならない。かりに次の選挙になってもまだ解消されていないようなら、維新は「現役世代のための政党」の座を、完全に国民民主党に明け渡すことになるかもしれない。
御田寺 圭
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