世界中で競争激化 次世代の太陽電池開発日本に勝機は【WBS】
いま開発が進んでいる次世代の太陽電池。ペロブスカイトと呼ばれる特殊な化学材料を使い、従来のものに比べ、弱い光でも発電し、曲げることも可能です。日本で生まれた技術ですが、いま、世界中で開発競争が繰り広げられています。 群馬・大泉町にあるKDDIの携帯電話の基地局。ここである実証実験が行われています。電柱に設置された緑色のものがペロブスカイト太陽電池です。 「通常の太陽光は地面に置かれている。今回の太陽電池は曲がるのでポール状にして設置している。なぜこうしたかというと基地局のところに土地がない」(KDDIカーボンニュートラル推進室の市村豪室長) これまでは太陽光パネルを何枚も並べるため、土地の確保が必要でした。しかし、ペロブスカイト太陽電池だと折り曲げが可能なので、ポール状にすることでスペースを取りません。さらに「朝の暗い段階でも日が昇れば発電する特性がある」(市村室長)といいます。
こちらは一日の発電効率を表したグラフ。従来のシリコン製は、太陽光が強くなる昼間がピークなのに対し、ペロブスカイトは弱い光でも発電するため朝日とともに発電効果が現れ、それが日没まで続きます。KDDIは、関東、東北、中国地方などで既に太陽光パネルを設置していますが、この新たな対応電池でさらにCO2の削減が促進できると期待しています。 「1年かけて季節の発電特性を調べ、商用展開する。基地局は全国に数万あるので置けるところには置いていきたい」(市村室長) KDDIだけではありません。パナソニックは、住宅用の発電するガラス建材の実証実験を進めていて、5年以内に製品化する目標を掲げています。 ある調査では、2035年に市場規模が1兆円に達するとの予測もあり、参入する企業が相次いでいます。政府も洋上風力発電などとともに開発のための予算を2024年度に計上し、開発を国ぐるみで後押ししようとしています。