「迷惑だけはかけてない」石田純一69歳、敗者復活という生き方 #昭和98年
終電に乗って夜中の1時に帰宅する毎日
ご縁が重なって、5月に仲間うちで焼肉店をオープンさせたんです。「炭火焼肉ジュンチャン」というお店なんですけど、今は毎日お店に行って、終電で帰ってくるという生活をしています。 お店が千葉の船橋にありまして、23時くらいの電車に乗って自宅の扉を開けるのがちょうど25時。そんな毎日を過ごしています。 これもね、いろいろ言う人もいらっしゃいます。だけど、自分としてはそうやって日々働けるところがあることに純粋に喜びを感じています。自分が行って喜んでくださるお客さまがいらっしゃる。それは何よりうれしいことだし、それを繰り返しているという感覚です。 もちろん、これもきれいごとだけではなく、家族が少しでも楽しく暮らせるように、少しでも良い生活をさせてあげられるようにという思いがあってのことでもあります。 ただ、それはいちいち子どもたちに伝えることではないですし、朝6時には僕のベッドに子どもたちが「パパ、起きろ!」と殴り込んできます(笑)。ほとんど寝てなくても、それはそれで気持ちのいい起き方なんですけど、ま、それが現実です。 もし、コマーシャルなんかのお仕事があったら、23時じゃなくて、22時半くらいの電車には乗れるかもしれませんけど(笑)。
今は不倫スキャンダルに厳しい時代
気づけば長くこの世界で過ごしてきて、芸能マスコミの皆さんとも濃いお付き合いをしながらやってきたタイプの人間だと改めて思いもします。 本当にたくさんのことを経験してきましたけど、いつの時代も不倫が礼賛されるようなことはありませんでした。ただ、今は特に厳しい時代だと思います。 あと、これも難しいのは“量刑”が等しくないということでしょうね。同じようなスキャンダルでも、その人を取り巻くものや状況でペナルティーが変わってくる。 僕もやったから分かりますけどキャスターをやると、やっぱり世間の目は厳しくなるわけですよ。日々、世の中の是非を言っておきながら、おまえは何をしているんだと。 前からそのバイアスはありましたけど、今はどの角度からでも鋭いプラスアルファが飛んでくる。結果、もう立ち直れないぐらいの社会的制裁が与えられる。もちろん、やった本人が善か悪かで言えば悪です。ただ、「そこまで?」と思うのも事実です。 この10年弱ぐらいで、芸能人にものすごく清廉性が求められるようになりました。時代の流れだから仕方ないんですけど、僕が役者を始めた頃は「役者は役者だけやってりゃいいんだ」という風潮がありました。 善い人である前に、役者としていかに生きるか。役者に倫理観なんか誰も求めてない。求めているのは良い芝居だけ。そんな空気も昔はありましたけど、今は違う。