日本郵船フィリピン商船大、今夏から女子学生の受け入れ開始。新たな人材確保へ挑む
【カランバ(フィリピン)=山田智史】日本郵船は5日、フィリピンの複合企業トランスナショナル・ダイバーシファイド・グループ(TDG)と共同運営する商船大学「NYK―TDGマリタイムアカデミー」(NTMA)の卒業式を開催した。卒業するのは第13期生95人で、今後、郵船の運航船で航海士・機関士として乗船勤務する。また、NTMAは今夏から初めて女子学生を受け入れる。多様な人材の獲得に向けさらに開かれた学びの場を提供し、郵船グループの企業価値向上を目指す。
マニラ近郊カランバ市カンルーバンに立地するNTMAで開催された卒業式典には、郵船から長澤仁志会長、曽我貴也社長、河野晃副社長、鹿島伸浩専務執行役員などが参加。TDGからはラシッド・デルガド共同CEO(最高経営責任者)が出席。在フィリピン日本国大使館の遠藤和也大使、フィリピン海事産業庁(MARINA)のソニア・マラルアン長官など多数の来賓を迎え、卒業を祝った。
曽我社長は祝辞の中で卒業生に対し、「ここで学んだことを胸に刻み、スキルを磨き、周囲の人々に刺激を与え、変化を起こしてほしい。世界は前向きな変化を志す人材を必要としている」と激励の言葉を贈った。
NTMAの敷地内に建設され、今月1日に完成した女子寮のお披露目式も開催された。今夏に入学予定の女子学生15人と共に完成を祝った。NTMAが女子学生を受け入れるのは初めて。女子寮は20人以上を収容でき、増築も可能な仕様となっている。
日本郵船グループでは女性船員が海上・陸上問わず世界中で活躍するなど、多様な人材が活躍できる職場環境整備と人材育成に力を入れている。性別に関係なく優秀な人材を確保すべく、フィリピン人女性船員の養成も開始し、同国の海事産業の発展にも貢献していく。
曽我社長は女子学生受け入れについて、「NTMAとわれわれにとって新しい章の始まりだ」と言及。「能力に性別は関係なく、女性のオフィサーを担う能力に疑いはない」と述べた上で、「マインドセット(考え方)をもたらし、より多くのコラボレーションへの道を開く」と期待感を示した。