素晴らしい続編だが…前作からの見逃せない変化とは? 映画『ビートルジュース2』考察&評価【映画と本のモンタージュ】
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映画『ビートルジュース』で描かれるのは霊界である。ティム・バートンが描く霊界は死んだときの姿のままのグロテスクだが、ユーモラスな死者が闊歩する。 とはいえ、霊界は秩序とルールに則っており、意外にも現世以上に平和だと感じるのだ。なかでも孤独である少女リディアが現実よりも霊界に魅力を感じ、霊となったメートランド夫妻に家族よりも心を通わせていたことに、危うさと羨ましさを感じてしまう。 そんな作品が日本にもある。水木しげるの『ゲゲゲの鬼太郎』は、霊界ではなく妖怪の世界が舞台だが、この作品には、人間世界よりも平和で自由な鬼太郎たち妖怪の暮らしが描かれている。そして、人間以上に厭世的な感情を抱く彼らのコミュニティには、不思議な憧れと魅力が感じられるのだ。 こうした、現世より優れた異世界への憧れはティム・バートンと水木しげる両人の共通点であるように感じるのだ。 【著者プロフィール:すずきたけし】 ライター。『本の雑誌』、文春オンライン、ダ・ヴィンチweb、リアルサウンドブックにブックレビューやインタビューを寄稿。元書店員。書店と併設のミニシアターの運営などを経て現在に至る。
すずきたけし