素晴らしい続編だが…前作からの見逃せない変化とは? 映画『ビートルジュース2』考察&評価【映画と本のモンタージュ】
ティム・バートン監督による最新作『ビートルジュース ビートルジュース』が現在公開中だ。1988年に公開された『ビートルジュース』の35年後を描いた続編を、前作と同じキャストで実現した本作。今回は、その魅力に迫りながら、一緒に読みたい1冊を紹介する。(文・すずきたけし)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】 【写真】ティム・バートンの世界に浸る…貴重な未公開写真はこちら。映画『ビートルジュース ビートルジュース』劇中カット一覧
懐かしさを呼び覚ます、ティム・バートンの安定感
『ビートルジュース ビートルジュース』を観た。一言で表せば、懐かしいあの味が今も変わらず味わえる、安定のティム・バートン印の映画であった。 前作『ビートルジュース』(1988)の公開当時に中学生だった筆者は、深夜のテレビで紹介された本作の奇抜なビジュアルに惹かれた。ティム・バートンという監督を知ったのも本作からだ。『ビートルジュース』は彼の監督作の中でも『マーズ・アタック!』(1996)とともに大好きな作品である。 最近では『トップガン』(1986)や『ゴーストバスターズ』(2016~)、『ビバリーヒルズ・コップ』(1985~)など、80年代のヒット作が長い時を経て、当時のキャストのまま正統な続編として制作される作品が増えているように感じる。 80年代映画に特別な思い出を抱いている筆者にとって、続編が「公開される」と聞けば、観に行かずにはいられない。今作は、36年前に公開された前作『ビートルジュース』から、同じ舞台とキャストによって描かれた正統な続編のため、「おっさんホイホイ映画」なのだ。
“ビートルジュース”の変わらぬ混乱
前作の主人公は、田舎の小高い丘の上にある家で仲睦まじく暮らす、アダム(アレック・ボールドウィン)とバーバラ(ジーナ・デイビス)のメートランド夫妻だ。ある日、彼らはかわいいワンちゃんが原因で事故に遭い、幽霊になってしまう。 その後、メートランド夫妻の家に引っ越してきたのが、今作の主人公であるリディア(ウィノナ・ライダー)と、彼女の継母デリア(キャサリン・オハラ)、そして父のチャールズ(ジェフリー・ジョーンズ)だ。 自分たちの家をめちゃくちゃにしようとするリディアたちを何とか追い出したいメートランド夫妻は、霊界のケースワーカーであるジュノ(シルビア・シドニー)に相談する。 ジュノは「人間を怖がらせる専門家」“ビートルジュース”の名前を「決して3度言ってはいけない」と警告するが、夫妻はリディアたちを追い出すために“ビートルジュース”(マイケル・キートン)を呼び出してしまう。 と、まあこんな前作から35年後を描いた今作では、リディアは少女時代と変わらず幽霊を見ることできる霊能力者としてオカルト番組のホストを務めており、前夫との娘・アストリッド(ジェナ・オルテガ)を持つ母親になっている。 母・デリアはアーティストとして大成し(デリアが寄付しているアストリッドの学校には前作でデリアがデザインしたであろう奇怪なオブジェが鎮座している!)、父・チャールズはサメに襲われ唐突に亡くなる。 メートランド夫妻はどうやら天に召されたらしいが、ビートルジュースは相も変わらず好き放題で、混乱を巻き起こしている。