「妊娠で辞めるつもりだった」岩清水選手が今もピッチで輝く原動力になった母の「言葉」と「引退時の夢」
── 復帰を想定した場合、女性アスリートが出産をするタイミングというのは難しそうですね。 岩清水選手:もしその先も長く現役生活を続けたいと考えるのであれば、20代後半で出産しないと難しいかもしれません。ただ、20代後半ってアスリートとしても脂が乗っているというか、一番体が動く年代でもあるし、経験を重ねてきて選手としていい時期でもある。代表にも選ばれているとよりその決断はさらに難しくなりますよね。海外ではオリンピックなど大きな大会が終わってひと区切りついたときに受精卵を凍結したり、妊娠、出産をスケジューリングするというケースもあると聞いたことがあります。
── 近年では日本の女性アスリートでも卵子凍結を選択される方もいらっしゃいます。過去にそういう選択をしたいと考えたことはありましたか? 岩清水選手:若い頃はあまり考えていなかったんですが、出産してからそういう話も耳にするようになりました。ただ、卵子凍結をしても維持費が高くて、あまり現実的ではなかったりして。海外のチームではチーム持ちで希望者には卵子凍結をさせてくれたり、そういう手当もあるんです。シンプルにすごいなと思いますし、選手としては心配事のひとつがなくなって選択肢も広がる。海外における知識の広がりやの理解度は深いなと感じますね。
── 選手生活と母親業を両立する中で大変なことはどんなことでしょうか。 岩清水選手:例えば子どものイベントがあってもスケジュールの関係で私が行けず、夫が出席することが多いんですよ。先日は誕生日会があったんですがそれも夫が出席しました。練習や試合のスケジュールの都合もあるので仕方がないんですが、授業参観とかも見られないですし…そういったことが今一番つらいですね。 ただ、私の場合は子どもが小さい頃から保育園に預ける体制を整えてもらって、預けることができて、その間は「ママ」から「アスリート」に戻るメリハリをつけられていました。クラブハウスに来ただけではまだ「ちゃんと幼稚園に行ったかな?」と気になったりもしますけど、トレーニングをしている間はサッカーに集中。数時間ですが子どもと離れたぶん、また会いに行く楽しさみたいなのもあって。“アスリートスイッチ”と“ママスイッチ”がうまく切り替わっている。そういった時間にはずいぶん助けられています。