絵本作家ヨシタケシンスケさんから つらい気持ちを抱えた人たちへ
■伝わったばあちゃんに込めた思い
このばあちゃんにヨシタケさんは「昔相当つらい時期があった」という設定を作っていました。 「つらさってなかなか消えないのよねっていう共感だけはできるから、共感をしていきたいと(思って)隠れ家を運営しているイメージ」 「生きるのがしんどくて何度も相談に来ていた若い子が『このばあちゃんは過去に死にたくなったことがあるんだと思う』と感想をくれた」 「『そうなんだよ!』って。みんな自分がつらかったことがあっての今なんだよって言うのがその子に伝わったのがうれしかった」
■笑顔を描かなくても幸せは表現できる
ヨシタケさんの工夫は他にも。実はこのサイト、笑っている人はほとんどでてきません。 「何か親子でニコニコみたいな絵を見たときに子育てを楽しめていない人たちは傷つくんですよ。この絵の人たちはこんなに楽しそうにしているのに、自分はなんで笑顔になれないんだろうかっていう。その時に疲れ切った顔で赤ちゃんを抱いている絵をみたら『だよね』ってなると思うんですよね」 「笑顔を描かなくても幸せが表現できるはずだし、こどもに対してむすっとした顔をしてるけど、この子のことを大事に思っていると表現できるはず」 「つらい時になかなか笑顔にならないし、でも逆に言えばむすっとしているけど、心の中でほっとしている時だってあるだろうし、涙が止まらないけど、何かちょっと希望のようなものが心に芽生えていることだってあるわけですよね」 「必ずしも笑顔だからこう思ってるとか、そこまで単純なものではないわけで。そういうところも、むすっとした顔に込めたい」
「これを作っている本人が助けを求めることを、一つのゴールにすべきなんじゃないかなって思ってきたところがあって。 3月、サイトがオープンした日に初めて心療内科みたいなところの予約をとったんです」 「この仕事に向き合うことで、僕もそういう一つの勇気を手に入れたというか」 「自分の力で人に相談するっていうのは僕は50年間できませんでしたけど、できたんですよ。この仕事に僕自身も救われた部分は大きい」