絵本作家ヨシタケシンスケさんから つらい気持ちを抱えた人たちへ
■つらいピークを迎える前の人にも...
「(つらさの)ピークを迎える前の”予備軍”の人たちに対して『うまく説明できない、自分も理由がわかんないけどつらい』ということをせめて共有できる場所、僕自身がそういう場所があればすごく助かるという思いがありました」 つらいピークを迎える前の人にとっての居場所というのも大きなテーマの1つになったといいます。
■この世でもあの世でもない”その世”に隠れてしまえば
「生きているのがつらいってなったときに、この世にいることをやめてしまう人たちに対して、あの世に行ってしまうと戻って来れないので、この世がつらいんだったら、あの世じゃない場所に行くことだってできるよねって」 「”その世”に隠れてしまって、気持ちが元に戻ったらこの世に戻ってくればいいんじゃないですか、という提案ができるといいなと」
■かくれがの管理人”むかんけいばあちゃん”
このサイトで、”かくれが”となっているのは大きな木。外から見ると人がいるのが分からない場所として、ツリーハウスをテーマにしたといいます。 その中は、気持ちをやりすごす場所と気持ちに向き合う2つのエリアがあり、不思議な生き物がつらい気持ちを食べてくれる部屋やゲームができる部屋、相談が出来る部屋など、合計9つの部屋で過ごすことができます。 そしてこの”かくれが”の管理人を務めるのが、むかんけいばあちゃんです。
「自分の大事な人であればあるほど、理由もなくつらい時があるんだとか打ち明けるのってすごい勇気がいる」 「だから無関係な人がいてほしいというか、あなたの本当のことを言っても、あなたの大事な人にはばれないから大丈夫、と安心して欲しかった」
■「生きなきゃだめ」が一番困る ばあちゃんの小話
「ばあちゃんの部屋」に入ると読めるのが、17個の小話です。 「自分だったら、生きなきゃだめだみたいなこと言われるのが一番困る。だから、そういう言葉を使わずに、余裕があったら見てみてね、みたいな形で、お話がたくさん用意されている」 「(自分も)ずっと長いこと強い不安と付き合いながら生きてきた中で、自分なりの解決方法みたいなのがたまってきたので、それを小話の中にたくさん入れたつもり」その中でもヨシタケさんの印象に残っているのが...。 「未来のことなんかどうでもいいんだよっていうのが出てくるんですね。生きていたくない人たちに『この先に輝ける未来があるんだから、生きてみようじゃないか』みたいなことを言いたくなるんですけど、そういうことを考えれば考えるほどつらくなっちゃってる」 「そういう時に『もういいんだよ未来のことなんか、ただ、この今つらい2~3時間をとにかく何かできる、紛らわせれば、それだけでいいんだよ』って」自分が助かる言葉を紡いでいったといいます。