『虎に翼』寅子が見た日本国憲法第14条。「男女平等」と22歳米国人女性の深い関係
ベアテを通して、今思うこと
ナチス勢力拡大により、ユダヤ人がヨーロッパから排除されることで、ウクライナ人の家族が最終的に日本に亡命したこと。第二次世界大戦でユダヤ人の大虐殺があり、そのような最悪な人権侵害を受けた民族のユダヤ人、またウクライナ人の子だったベアテが、日本の中で権利をもたかった女性に権利を与えてくれたこと、ベアテ自身が人権について強い意思を持って考えるようになったきっかけも、きっと彼女自身の生い立ちや時代に戦争に翻弄され続けた歴史が背景にあるのではないかと思うのです。 今もまだ、ロシアに翻弄されるウクライナの姿をみて、そんなベアテの生き様が改めて私の胸に響きます。 そして、ウクライナだけでなく、その後のイスラエル・ガザ情勢、スーダンの内戦など世界中に迫害されている人がいまだにいる中、彼女のおかげで男女平等という「人権」を得た私は一体何ができるだろうとずっと考えています。私たちは、紛争が起きると一時は関心を寄せますが、その後はメディアからの報道が少なくなります。一時的な加熱ではなく、戦争がもたらすものについて、私たちは考え続けなければ、と思うのです。 また、ベアテが私たちに与えてくれた「男女平等」にもまだまだ課題は残っています。どんなに権利が与えられていても、2023年の日本のジェンダーギャップ指数146か国中125位で、G7の中で最低順位を更新し続けています。もちろん、ジェンダーギャップ指数が男女平等を示すすべてではありません。ですが、女性に関する環境や雰囲気は変わらない部分もまだまだ多く、女性の権利をうまく行使させてもらえない環境にはどこに問題があるのだろうと考えずにはいられません。ベアテから与えられた女性の権利を自分自身がしっかり使うこと、そして日本の女性の権利がちゃんと尊重されるように活動できる社会を作ることが、ベアテへの一番の感謝になるのではないかとも思うのです。
内田 舞(医師)